枚方簡裁(大阪府枚方市)の簡裁判事(60)が昨年10月、風俗店で女性店員の唇に
かみついてケガをさせた上に、サービスにないわいせつ行為をしたとして、強制わいせつ
致傷容疑で書類送検されていたことが23日、分かった。示談が成立し起訴猶予処分と
なったが、大阪地裁は「懲戒処分にはあたらない」と厳重注意とした。簡裁判事は
「申し訳ない」と依願退官した。
簡裁判事が神戸市にある風俗店を訪れたのは昨年10月6日の夜。大阪地裁などによると、
判事はサービス中に突然、20代の女性店員の唇を強くかんでケガをさせるという暴挙に出た。
その後、無理やりサービスの範囲を超えるわいせつ行為をしたとされる。
女性は唇から出血したため、直後に店の従業員が簡裁判事を連れて警察署に被害を届けた。
簡裁判事は書類送検されたが、店と女性に謝罪し、同月中旬に170万円を支払うことで
示談が成立。神戸地検は11月6日、強制わいせつ致傷罪の成立を認めた上で
起訴猶予処分とした。
大阪地裁が事実を知ったのはトラブルから1週間後の10月15日。それまで何ごとも
なかったかのように出勤していたが、本人が「風俗店の女性にケガをさせてしまった」と報告。
自宅待機を命じられた。
地裁は11月16日、懲戒処分ではなく、口頭で厳重注意。懲戒処分でなかったことについて
地裁は「責められる行為だが、示談成立や検察の処分などを踏まえ総合的に判断した」と
説明している。簡裁判事は同日、「どんな処分であれ職にとどまるつもりはない」と退官した。
規定により、退職金は支払われる。
簡裁判事は1968年に裁判所事務官として採用。88年、簡裁判事に任官。神戸、大阪簡裁
などを経て06年3月から枚方簡裁で民事訴訟や調停などを担当していた。
大阪地裁の佐々木茂美所長は「法を順守し厳正に執行すべき立場にある裁判官が、
被害者にケガをさせたことは誠に遺憾。職員には規律の保持について厳に注意を求め、
裁判所に対する信頼の確保に努めたい」とコメントしている。
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2008/01/24/02.html