白川日銀総裁が誕生 空席、3週間ぶり解消
衆参両院は9日の本会議で、日銀総裁に白川方明(まさあき)副総裁(58)を昇格させる人事案について、共産党を除く各党
などの賛成多数でそれぞれ同意した。両院での同意を受け、政府は同日午後、白川氏の総裁任命を持ち回り閣議で決定し、直ちに
発令する。3月20日から続いた戦後初の総裁空席という異常事態は約3週間ぶりに解消される。
一方、白川氏の後任副総裁に前財務省財務官の渡辺博史一橋大大学院教授(58)を充てる人事案は9日午前の参院本会議で、
民主、共産、社民各党などの反対多数で否決され、不同意となった。採決結果は賛成115票、反対121票だった。
同日午後の衆院本会議では与党などの賛成多数で同意されたが、日銀正副総裁人事は衆参両院の同意が必要となるため、日銀は、
正副総裁3人のうち1人を欠く不正常な状態が続く。
民主党は渡辺副総裁案に対し、「財政と金融の分離」「天下り禁止」を理由に反対を決めたが、参院で渡辺秀央、大江康弘、藤原正司
の3氏が賛成し、4人が欠席・棄権した。
民主党内で当初、渡辺副総裁案への賛成意見が大勢を占めたにもかかわらず、小沢一郎代表が不同意を押し通したことが「造反」を
招いた形。同党と参院で統一会派を組む国民新党4人は賛成、無所属1人は欠席した。
福田康夫首相は渡辺副総裁案の不同意を受け、人事案の出し直しを迫られるが、首相が強く望んでいた財務省出身者の起用は絶望的で、
人選難航は必至。
町村信孝官房長官は9日午前の記者会見で「直ちに適材は思いつかずしばらく空席にならざるを得ない」と、副総裁空席が長期化する
可能性を示唆した。
白川氏は新総裁として、11日にワシントンで開催される先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)に出席する。
◆渡辺副総裁案に民主3人が賛成
日銀副総裁に渡辺博史一橋大大学院教授を充てる人事案を採決した9日午前の参院本会議で、民主党の大江康弘、藤原正司、渡辺秀央
(いずれも比例代表)の3氏が党議決定に反して賛成に回った。
また、同党の犬塚直史(長崎県選挙区)、風間直樹(比例代表)両氏は本会議に出席して棄権。木俣佳丈(愛知県選挙区)、桜井充(宮城県
選挙区)両氏が欠席した。衆院では渡辺副総裁案に賛成した議員はいなかった。
大江氏は、賛成に回った理由について記者団に「(渡辺副総裁案)容認という党内の流れを覆した執行部の態度は大変疑問」、渡辺秀央氏も
「執行部は組織の考え方を無視して、政局絡みの判断をした」と、小沢一郎代表らを批判。藤原氏は「押したボタンがすべて」と述べた。欠席
した木俣氏は「電車に乗り遅れた」、棄権した犬塚氏は「反対ボタンを押したが、記録が残らなかった」と、それぞれの事務所を通じて説明した。
これに対し、鳩山由紀夫幹事長は記者団に「党議として決めたことに従うのは当然」と不快感を表明。輿石東参院議員会長は、造反者を処分
する考えを明らかにした。
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2008040990140600.html