「世界最高齢の小学校入学」のギネス記録を持つ、
エルドレトのキマニ・ンガンガ・マルゲさん(88)が今、人生最大のピンチだ。
昨年暮れからケニア各地で続く暴動や混乱で避難生活を余儀なくされ、5年生に進級できないかも知れないのだ。
地元警察署に設けられた避難民キャンプで、マルゲさんはテント生活をしている。
大統領選で再選したムワイ・キバキ氏と同じキクユ族なので、
野党支持者らの暴動で危険を感じ、独り暮らしの自宅からつえを突いて出た。
途中で警察車両に助けられた。
母校カプケンデュイヨ小学校(8年制)は、自宅から約300メートル。
キャンプからは10キロもあり、徒歩では通えない。
「危険なので帰宅できない。出席が足りず、退学かも知れない」と不安がる。
マルゲさんは、英国からの独立のため、戦士として父に育てられた。
貧しさもあり、学校に通えなかった。
「買い物はできないし、教会でありがたい話を聞いても、本当に聖書に書かれている通りなのか、つい疑っていた」
小学校の授業が03年から無料化された。
マルゲさんは、短パンにハイソックスの制服を勝手にあつらえ、
当初渋った学校をしつこく説得、04年に入学した。84歳だった。
同級生で同じキャンプに避難するフィリス・ムワンギさん(12)によると、
マルゲさんは「グカ(じいさん)」と呼ばれ、黒板に一番近い席を愛し、人気者だ。
2年前から児童会長。昨年の成績は58人中14位だ。
避難の際も制服と教科書、書きためたノート11冊、期末試験結果は忘れなかった。
テント前の岩に座り、制服姿で聖書や算数を自習。避難中の児童も集まってくる。
「独立戦争で戦いは終わりだと思っていた。平和が一番大事だな」
ケニア国内は今も各地で野党支持者が暴徒化、死傷者が出ている。
大統領選結果をめぐり対立する与野党の仲介役、
コフィ・アナン前国連事務総長は22日にケニア入りする予定で、手腕に期待が寄せられている。
ソース
http://www.asahi.com/international/update/0120/TKY200801200155.html