▼「不適切な医療が原因」 徳島刑務所暴動、12月出所の男性証言
昨年十一月、受刑者二十数人が刑務官五人にけがを負わせる集団暴行事件のあった徳島刑務所
(徳島市入田町大久、荒島喜宣所長)で、翌月まで服役していた三十代の元受刑者の男性が徳島新聞の
取材に応じ、「刑務所の医務課長(42)の不適切な医療措置に対する積もりに積もった不満が暴動発生の
原因だった」と証言した。男性は施設内の規律の必要性に理解を示しながらも、「規律保持と病気への
対応は別問題だ」と訴えている。
男性は一九九八年十月、徳島刑務所に入所。九年間服役し、昨年十二月中旬に出所した。
男性によると、暴動が起こった昨年十一月十六日の数日前、受刑者一人が、面会に行ったまま隔離され
舎房に戻ってこなくなった。この受刑者は、刑務所内の医療面に関する不満を弁護士に伝えるなど、不当性の
公表に向け積極的に活動していた。このため、刑務所側の隔離処置に対する憤りが暴動の引き金になったという。
暴動のあった工場には居合わせていなかったが「何かしないと医療問題は表に出ない。結果的に暴動を
引き起こすことになったが、そうするしかなかったのだと思う」と話す男性。「施設内の規律の厳しさは自覚
しているので不満はない。ただ、体の具合の悪い時は、規律と病気への対処は区別してほしいという願い
がほとんどの受刑者に強くあった」と振り返る。
二〇〇四年四月に現在の医務課長になって以降、これまで処方されていた薬を止められた。「突然、
薬を止められると処方してほしいとの思いが募る。強く要求すると、薬の強要や暴言で単独室に入れ
られる懲罰対象になった」という。
〇五年から〇七年にかけて、同じ症状を何度も訴えて診療を求める受刑者が、ベッド上で四つんばいにされ、
肛門(こうもん)に指を突っ込まれるようになった。「〇六年から〇七年にかけて、肛門に指を入れる行為に
ついて頻繁に耳にするようになった。薬もくれず、むちゃくちゃな行為をされたら診てもらいたくなくなる。自分は
されていないが、医務室に来させないための嫌がらせだと思った」
「あの医者はおかしいから」と刑務官も認めていたという。
実現しなかったが、男性は医務室に音声付きビデオカメラの設置を求め、薬を処方しない医療措置などで二件の
人権救済を徳島弁護士会などに申し立てていた。男性は「カルテが残っていないので証拠はないが、医務課長への
怒りが根源にある。今回のような暴動は、刑務所内でまず起こり得ない出来事だということを分かってほしい」と話した。
医務課長の医療措置について、徳島刑務所の高橋広志総務部長は「調査した結果、不法、不当な行為はなく、
医療行為は適切に行われていたとの結論が出ている」と話している。
ソース:
http://www.topics.or.jp/contents.html?m1=2&m2=&NB=CORENEWS&GI=Kennai&G=&ns=news_120070779798&v=&vm=1(徳島新聞)