◇「ほう助」認めず
「犯行の実行過程を通じ、(野沢被告は)首を絞める行為以外の全過程に
参加するという重要な役割を果たした」。
さくら市の保険金目的の殺人・放火事件の判決公判で、宇都宮地裁は17日、
殺人罪などに問われた野沢正人被告(28)に懲役17年を言い渡した。
「はるみはもう戻ってこない」。殺害された小林はるみさん(当時41歳)の遺族は、
被告席を見据え、判決に耳を傾けた。
野沢被告は黒のスエット、ベージュのズボン姿。
池本寿美子裁判長が判決を朗読する間、顔を前に向けて聴き入った。
弁護側は公判で、首謀者の自動車修理販売会社の小林広・元社長(当時58歳)
=拘置先の宇都宮中央署で自殺=を恐れた野沢被告は、仕方なく犯行に加わった
などとして「ほう助犯」と主張した。
しかし、池本裁判長は、拒絶可能なのに謀議に参加した
▽殺害の際、事務所の電気を消し、はるみさんの両足を押さえた
▽殺害後、遺体を運び、首つり自殺を偽装した――
など、被告が重要な役割を果たしたと指摘。
「殺害の共同実行の意思の下に、犯行に及んだと推認できる」とした。
さらに、殺害を「前日に一度、失敗したのに、翌日、再び企てるなど
強固な犯意に基づく計画的な犯行」「首つり自殺に見せかけたり、
犯行用具を川に捨てるなど犯行後の情状も極めて悪い」と指弾した。
宇都宮地検の渡辺登・次席検事は「検察官の主張が認められたものであり、
適正、妥当な判決」とコメントした。
【山下俊輔、中村藍、吉村周平】
◇悔しさ隠せぬ遺族
「(野沢被告とは)家族ぐるみの付き合いだったのに、なぜこんなことになったの……?
なぜ、私の孫(はるみさんの長男)を独りぼっちにさせたの?許せない」
閉廷後、殺害された小林はるみさんの母・伊藤菊代さん(64)は涙を浮かべ、
野沢被告への怒りを吐露した。
菊代さんは判決前、はるみさんの墓前に線香を供え、
「どんな判決になるか分からないけど、戻ったら報告するね」と伝えた。
判決は、求刑より3年軽い懲役17年だった。
「はるみも納得いかないだろう」。菊代さんは悔しさを隠さなかった。
はるみさんの次男・善輝君(当時7歳)は04年2月、当時住んでいた
県営住宅4階から転落、死亡した。
事故か事件か、県警の捜査は現在も続いている。
菊代さんは、弟に続き母親も亡くしたはるみさんの長男について
「善輝を失ってから、強く生きていこうと心を新たにしたわずか3年後に、
こういう出来事が起きた。あまりにもふびん――」と話すと絶句した。
控訴については弁護士と相談し決めるという。
ソース:yahooニュース(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080118-00000071-mailo-l09