泉鏡花文学賞などを受賞した作家、小檜山博(はく)さん(70)=札幌市在住=が、JR北海道の
車内誌に連載している短編小説に、毎日新聞の読者投稿欄「女の気持ち」を盗用していたことが
18日、分かった。小檜山さんは事実を認め、投稿者に文書で謝罪する考えを明らかにした。JRは
車内誌の回収を始めた。
掲載されたのは「THE JR Hokkaido」の1月号。「電車で」のタイトルで、主人公が女子中学生に
席を譲られた体験を娘に話したところ、娘が感激して泣いたというエピソードを描いている。
このエピソードは昨年10月30日付の毎日新聞(東京)に「めんどくせ〜」との見出しで掲載された
茨城県土浦市の主婦、坂本裕子さん(50)の投稿と同じ内容だった。表現も投稿は「席を詰めて
くれてありがとう。おかげで助かりましたヨ。本当にありがとう」とあるのが、小説は「席をあけてくれて
ありがとう。お陰で助かりました。本当にありがとう」と酷似している。
岩手県内の毎日新聞読者が17日、車内誌を発行しているJR北海道の子会社に指摘して発覚。
小檜山さんは「小説にはヒントやモデルがある。僕自身としては、未熟で飛びついたところもあり
(投稿を写した)メモを見て構成してしまい、言葉を咀嚼(そしゃく)できなかった」と釈明した。
坂本さんは「著名な作家が素人の書いたものを盗作するとは考えられない」と話している。
小檜山さんは北海道新聞社在勤中に執筆活動を始め、76年に「出刃」で芥川賞候補となった。
83年に「光る女」で泉鏡花文学賞を受賞した。車内誌は毎月8万部を特急などに載せている。
連載は04年4月から「新・人生劇場」のタイトルで始まった。【横田愛、斎藤誠、柴沼均】
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