●共産主義の清算は未完成
ワルシャワ市内のどこからでも見える37階建の文化科学宮殿は、旧ソ連が建てた「スターリンの贈り物」だ。
ポーランド人はよく「ワルシャワで最も幸せな人は、文化科学宮殿で働く人」という冗談を言う。
あの中にいる人は、建物を見ることができないためだという。
過去の評価でも、このような反ソ気流が容易に読める。ポーランドでは、独立を勝ち取った1918年に始まった
政権を第1共和国と呼ぶが、共産政権(1947〜1989年)は共和国の国制分類から除外されている。
しかし、過去の清算はこれとは別だ。不動産財閥を含む富裕層の大半は、過去の共産独裁時代の
権力者が主流をなす。共産勢力が権力から追われる直前に土地の所有権を得て外国企業に売った結果だった。
トゥガ広場で人形を売るイレネウシュ・ユレクさん(50)は、「私の生活は当時のままだが、
昔のエリート集団は今も裕福に暮らしている」と鬱憤(うっぷん)を吐露した。
●「一般市民、体制変化の経験不足」
ポーランドの体制変化は、システムの面では完成したが、社会・心理的には依然として未完成だ。
ポーランド経済研究所(CASE)のヤヌシ・シルメール研究委員は、「一般の人々は新しい資本主義システムを
完全に理解できずにいる」と話す。市民が、構造変化よりただ生活環境が良くなったかどうかだけに注目しているという説明だ。
さらなる変化の原動力が必要な時に訪れたのが、まさにEU加盟だった。
EU加盟初期に、ポーランドは方向性をしっかりつかむことができなかった。保守右派の「法と正義党(Pis)」の
レフ・カチンスキー大統領は、05年の大統領選挙に勝利した後、カトリック原理主義に合わないという理由から、EU統合の速度を緩め、
市場保護に乗り出した。 ポーランドは、昨年10月の総選を機に、変化に向けた本格的な動きを始めた。
ポーランド国民は、中道右派「市民プラットフォーム」の手を取った。ドナルド・トゥスク党首は首相に就任し、
EU統合重視、親企業および外国投資誘致奨励政策を推進し、経済政策の主導権を握った。
昨年6.1%に続き今年も6.5%の成長が見込まれる早い経済成長も、トゥスク首相の親企業的な開放政策の結果と評価される。
オ・セグァンKOTRAワルシャワ貿易館長は、「2007年から2013年にEU基金673億ユーロ(約91兆ウォン)が支援されれば、
驚くべき速度の発展が実現するだろう」と話した。 グダンスクで会ったアンジェイ・シーツマンさん(49)は、
「EU加盟は民主主義と市場経済導入当時のように見知らぬ世界との出会いだが、ポーランドの
未来に明るい光を投じてくれるだろう」と楽観した。
http://japan.donga.com/srv/service.php3?bicode=060000&biid=2008011402158