http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080106it03.htm?from=top 政府は、各省庁が必要な公文書を誤って廃棄・紛失する事態を防ぐため、
文書の作成から保存まで一貫した手続きを定める「文書管理法」を新たに
制定する方針を固めた。早ければ今月召集の通常国会に法案を提出する考えだ。
海上自衛隊がインド洋での給油活動をめぐる航泊日誌(航海日誌)を保存期限前に
破棄したり、厚生労働省が薬害肝炎の症例リストを倉庫に放置したりと、重要文書の
ずさんな管理が問題となった。このため、福田首相が公文書の管理体制の見直しを
指示した。
2001年の政府の重要公文書の保存に関する申し合わせでは、日常業務に使用する
公文書は各省庁でそれぞれ保管し、一定の保存期限後(最長30年)、資料的価値の
高いものが国立公文書館(東京・北の丸公園)に移される仕組みとなっている。ただ、
各省庁の保管状況は、省庁ごとの規則に基づいているため、ばらつきがあるのが
実態だ。
文書管理法では、政策決定の過程が分かるよう、重要な会議の記録や決裁の文書
などを作成し、保存することを各省庁に徹底する。
国立公文書館が文書の引き渡しを求めても、省庁側が保存期間を延長して実質的に
拒否するケースがあるため、公文書館の要請に応じて首相が各省庁に文書の移管を
命じる仕組みも定める方針だ。これにより、保存期間が切れる年間100万冊程度の
文書の中で移管される割合を約0・5%から1%程度に引き上げ、公文書館の資料を
充実させたい考えだ。
米、英、仏などの先進国にはすでに文書管理法に相当する法律があり、公文書館が
省庁に行政文書の提出を命令できるなどの仕組みが整っている。
(2008年1月6日10時46分 読売新聞)