NHK経営委員会で、次期会長人事をめぐる前代未聞の内紛が起こった。菅原明子委員と
保ゆかり委員の2人が19日、東京・渋谷の同局で会見を行い、古森重隆委員長(富士フイルム
ホールディングス社長)に対し「独断的すぎる。意中の人を通したいとの気持ちが強い」と批判。
同委員長に対し、会長の選出過程の透明性の確保などを求める抗議文を送付したことを明らか
にした。同委員長は13日の会見で、外部から次期会長を選ぶことでほぼ全会一致と語ったが、
実情は違ったという。
2人の会見はこの日、突然行われた。菅原委員は古森委員長について「自分の会社のやり方を
そのまま委員会でやっているのではないか。声が大きく、自分の意見を強く推す。他の委員は
思ったことを言えない」と切り出した。
同委員長への抗議文には「議論を含め、会長選出の過程をブリーフィングや議事録で公開
すること」「威圧的ともとれる言辞で議論を封殺しない」「個人の意中の人物があるとしても、
一方的に押しつけるような手段はとらず、各委員からの推薦も平等に」の3点を要求した。
「ワンマン」「力ずく」という態度に自分たちの意見が届かないと言う。
古森委員長が13日の経営委員会後に行った会長人事の会見では、会長を外部から選出する
ことに「ほぼ全会一致」と語った。だが、菅原委員と保委員は「保留が2人、内部から選ぶべき
との意見の方が2人いた」と明かし、会見の内容と食い違いがあることを強調した。さらに、
同委員長が、各委員から候補を挙げてもらうと説明したことにも「何日までに挙げてくれというような
働きかけないまま、委員会を迎えた」と、強い不信感を示した。
この日の会見では、同日の委員会の様子を示すメモも紹介された。菅原委員が「候補の中に
内部のOBを残してほしい。プロフィルはおって送る」と語ると、古森委員長は「プロフィルを見たって
人物の中身など分かるものではない。自分がノミネートする人物は、皆さんに直接紹介したい。
そこで否定されると、本人のメンツがつぶれるから困る」と、意中の人物で即決する意向を示したという。
放送法では、会長の任免は、票が割れた場合は現職の続投となるが、12人の委員中9人以上が
同意すれば決まる。菅原、保の両委員は「古森委員長は、25日に決めるつもりでいる。動議や
ノミネートのひまもなかった」。他の委員については「今回のことで、どう行動するかはそれぞれの
判断」とした。
文書の回答は21日にもある見込み。古森委員長は安倍晋三前首相の強い要請を受け委員長に
就任したとされる。次回の経営委員会は25日。
http://www.nikkansports.com/entertainment/p-et-tp0-20071220-297553.html