http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/071217/stt0712172123004-n1.htm 報道各社が実施した世論調査で、福田内閣の支持率が軒並み10ポイント以上も
急落したことが波紋を広げている。与党は「年金はやはり鬼門」(自民党閣僚経験者)と
衝撃を隠せないが、攻勢を強めるはずの野党も「後に引けなくなりつつある」と
国会戦術の練り直しを迫られている。
「首相は誠実で柔軟なイメージ作りをしてきたが、本性が現れてきた」
民主党の山岡賢次国対委員長は17日、強気の発言を繰り返した。
フジテレビ番組「報道2001」の13日の世論調査で内閣支持率は39・2%となり、
前週に比べ11・0ポイントも減った。共同通信社の調査でも、内閣支持率は
前月比11・7ポイント減の35・3%と急落したためだ。
ところが「衆院選で信を問えという機運が急激に高まっている」と強調した山岡氏
だったが、問責決議案提出の時期について問われると「そう遠くない」としながらも
「年内か、年明けか、予算の時か。タイミングを慎重にはかりたい」と述べるにとどめた。
実は、民主党執行部は「衆院解散に追い込むゴールは3月」(国対幹部)とみてきた。
来春の予算関連法案の審議に合わせ、年金問題や農業政策、揮発油税の暫定税率の
撤廃、防衛省疑惑などで政府・与党を攻め立て、とどめに参院で首相問責決議を
可決し、衆院解散に追い込む−というシナリオだ。
ところが支持率が急落したままだと、来年1月の新テロ対策特別措置法案の衆院
再議決の際、首相への問責決議案を提出しなければ「腰砕けと批判される」(幹部)
可能性が出てきた。民主党幹部の一人は同日、「問責を出しても出さなくても批判
される可能性がある。どちらが民主党のダメージが少ないか」と、ため息交じりに語った。
衆院の内閣不信任案可決なら、内閣は衆院解散か内閣総辞職となるが、参院の
首相問責決議案には憲法上の規定はなく、力を持たせるには「世論の批判が
あっても野党が参院の審議をストップさせ、衆院解散か内閣総辞職に追い込むまで
粘る覚悟が必要」(民主党国対幹部)だからだ。
現在の支持率はさらに落ちるのか、それとも持ち直すのか。「勝負時ではない」と
他の野党から批判されたり、野党の結束が乱れる可能性は…。 民主党執行部は、
年明けの世論の動向を注視する方針で、1月6日にも幹部が集まって対応を
協議するという。
福田康夫首相は17日、内閣支持率が急落していることについて「結果が出たやつを
とやかく言ってもしようがない。天下国家、国民のため、これからも一生懸命やることに
まったく変わりない」と述べた。
町村信孝官房長官は同日の記者会見でその原因を「国民の受け止め方は
年金などのことがあると思う」として、年金記録統合への対応のまずさを挙げた。
その上で「謙虚に国民の声に耳を傾け、耳を澄まし、しっかりとした対応をやって
いかなければいけない」と強調した。
支持率急落は「再延長を契機に攻勢に切り替えよう」と描く自民、公明両党の
出ばなをくじいた。「ショックを受けている」(自民党の尾辻秀久参院議員会長)など
動揺も広がる。与党国対メンバーには、新テロ対策特別措置法案の参院での
年内採決は断念し「越年やむなし」との声が急速に広がりつつある。
17日午後、国会内で開かれた与党衆参国対委員長会談。ある自民党国対幹部は
「参院外交防衛委員会での審議は25日にも衆院と同じ40時間を超える」と説明し、
あくまでも年内採決を求める考えを示したが、すぐ次の話題に移ったという。
与党執行部はもともと、野党が参院に首相の問責決議案を提出した場合、衆院で
内閣信任決議を可決して対抗する方針だったが、強行すれば、首相は国民の
厳しい批判にさらされたまま外遊に出ることになる。年末年始を事実上の「休会」に
するというもくろみは崩れ、週末にかけて与野党攻防は激化しそうだ。