北朝鮮のテロリストの素顔に世界が震撼(しんかん)した“あの事件”から20年。
フジテレビ系・土曜プレミアム特別企画「大韓航空機爆破事件から20年 金賢姫
(キム・ヒョンヒ)を捕らえた男たち〜封印された3日間」(12月15日後9・0)は
事件の“もうひとつの真実”を再現ドラマとドキュメントで描くノンフィクションドラマ。
日本を救ったのは名もなき3人の男だった…。
「私は北朝鮮工作員。ソウル五輪を妨害するために大韓航空機を爆破した」
実行犯の1人、金賢姫(演じるのは韓国人を母に持つモデル出身の美元)が後に
こう供述する事件が起きたのは昭和62年11月29日。日本人名「蜂谷真由美」に
なりすました彼女と、その後服毒自殺した「真一」を名乗る男(中丸新将)はテロ
遂行後、ローマ経由で帰国することになっていたが、それを瀬戸際で阻止したのは
中東の日本大使館で働く若い3人の男性館員だった。
アラブ首長国連邦の矢原純一・治安警備担当書記官(勝村政信)、バーレーンの
砂川昌順・副理事官(高嶋政伸)と塩原順・領事担当書記官(伊藤淳史)=いずれも
肩書は当時。3人の活躍については事件の核心を握るわずかな人間が知る真実として
封印されてきた。
だが、北朝鮮拉致被害者が帰国した5年前から取材を続け、これまでにもノンフィクション
ドラマ2本を手がけた報道番組部の成田一樹プロデューサーがこの情報を入手。
さまざまなルートを通じて3人と会い、4年がかりで企画の準備を進めてきた。
ドラマは、主人公の1人、砂川さんの著書「極秘指令 金賢姫拘束の真相」や金賢姫の
手記などをもとに脚色。矢原さんが乗客名簿の中で発見した2人の“日本人”が
バーレンに入国したことが分かり、身柄拘束に奔走する砂川さんと同僚の塩原さんの姿を描く。
「3人がいなければ日本の外交や拉致問題がどうなっていたか分からない。爆破事件から
20年、横田めぐみさん拉致から30年…。拉致問題が膠着状態となり、3人の知られざる
闘いを、とくに若い人たちへのメッセージとして伝えたい」と成田プロデューサー。3人をはじめ
とする関係者へのインタビュー、現地の実景ロケと並行して国内で再現ドラマの収録をしてきた。
爆破から金賢姫拘束までの緊迫の3日間を演じた3人の俳優にとってはやりがいのある作品に。
「未解決に終わったら大変なことになっていた。演じながらぞっとした」と高嶋。伊藤は「一分一秒
を争う感じを大切にやった」。勝村は「あってはならないことが現実にあることを分かってほしい」
とそれぞれの思いを話している。
◇
【用語解説】大韓航空機機爆破事件
1987(昭和62)年11月29日、乗客乗員115人を乗せ、イラク・バグダッドからアラブ
首長国連邦・アブダビ空港、タイ・バンコク空港経由で韓国・ソウルへ向かった大韓航空機
が時限爆弾で爆破された。直後にアブダビ空港で飛行機を降りていた金賢姫ら2人の身柄
が拘束された。男は服毒自殺、金賢姫も自殺を図ったが未遂に。後に、彼女に日本語などを
教えていた李恩恵(リ・ウネ)という女性が北朝鮮拉致被害者の田口八重子さんであることも分かった。
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/071213/tnr0712130821001-n1.htm