東京歯科大同窓会を舞台にした汚職事件で贈賄罪に問われ公判中だった元同窓会幹部、大友好(よしみ)
(73)、内山文博(67)両元被告=ともに有罪が確定=について、日本歯科医師会(大久保満男会長)が
今年9月、除名処分にしようとしたところ、同大学OBが大挙して集まった総会で否決されたことが分かった。
地方組織からは批判声明が出るなど騒ぎになり、先月、歯科医師会が「総会に異議を唱えることはできない」と
見解を示す異例の事態となっている。【宮川裕章】
日本歯科医師会の処分は、全国地区代表でつくる代議員会(139人)と、
会員なら誰でも参加できる総会で議決される。
異なる議決が出た場合は、総会が優先されることが定款で決められている。
9月の代議員会では、2人の除名が議決されたが、直後に開かれた総会で、6割以上が反対し否決された。
総会には通常50人程度が集まっていたが、この日は東京歯科大出身者が集結し、約200人に上った。
「2人は同窓会組織のために犠牲になった」などの同情論があったという。
同大学同窓会東京地域支部連合会の高橋哲夫理事(61)は「総会にOBは多かったが、動員ではなく、
自然に集まった。犯罪は反省すべきだが、不名誉な処分になる2人に配慮すべきだ」と話す。
一方、除名否決を受け、24道県歯科医師会、9市歯科医師会から「贈収賄事件は許されない行為で、
総会の議決は一部に残る甘えの体質だ」などの批判が寄せられている。
日本歯科医師会は11月2日、声明文を出した下部組織に「代議員会議決が、会員の総意。
だが、総会に意義を唱えることはできない」との異例の回答をした。
小谷田(こやた)宏・日本歯科医師会常務理事は「代議員会の可決議案が総会で否決されたことは遺憾だが、
定款上、やむを得ない。
今後、定款改正の議論を進めることになるだろう」と話した。
【ことば】
東京歯科大同窓会汚職事件 東京歯科大出身で前栃木社会保険事務局指導医療官、
佐藤春海元被告(58)=懲戒免職=が02年11月〜05年7月、大友、内山両元被告から230万円の
わいろを受け取り、同窓会会員に診療報酬の監査を免れる方法を教えたなどとして、警視庁が今年5月摘発。
東京地裁は11月、▽佐藤元被告に収賄罪で懲役2年、執行猶予3年▽大友、内山両元被告に贈賄罪で
同1年、同3年の有罪判決を出した。3人とも控訴せず確定した。
毎日新聞 2007年12月13日 2時30分
http://mainichi.jp/select/today/news/20071213k0000m040164000c.html