急速に普及する電子マネーの利用者保護を強化するため、金融庁は「電子マネー法」(仮称)の
制定に向けた検討に入った。
金融庁の「決済に関する研究会」(座長=岩原紳作東大教授)が、電子マネーや現行の決済システムの
問題点をまとめた報告書を今月中に提出する。
金融庁は年末までに策定する「金融・資本市場競争力強化プラン」に新法制定の方針を盛り込み、
2008年の制定を目指す。
研究会は、新たな金融サービスの登場を妨げないよう銀行より規制を緩めつつ、電子マネーのサービス
運営会社に利用者保護や決済システムの能力を求め、金融当局が経営監視できるルールの必要性を指摘する。
金融庁は、運営会社の登録制を導入することに加え、運営会社が破たんした場合の利用者保護の仕組みや、
電子マネーを換金するサービスの解禁などを検討する見通しだ。
電子マネーは、集積回路(IC)の組み込まれたカードや携帯電話を端末にかざすだけで支払いが済む
手軽さから急速に普及している。Suica(スイカ=JR東日本)、Edy(エディ=ビットワレット)、
nanaco(ナナコ=セブン&アイ・ホールディングス)のカード発行枚数は9月末に計5500万枚を超えた。
インターネット通販などのネット決済でも利用されている。
しかし、当局の経営監視、破たん時の電子マネーの保護、資金洗浄(マネーロンダリング)など不法行為を
防ぐ仕組みは未整備で、商品券の利用者保護を目的とするプリペイドカード法で、電子マネーの未利用残高の
半額を供託することが義務付けられているだけだ。
(2007年12月3日3時2分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20071203i101.htm