映画館また一つ 宇都宮第一東宝 あすで休館
宇都宮の中心市街地にあり、映画ファンに60年近く愛されてきた映画館「宇都宮第一東宝」
(宇都宮市池上町)が30日で休館する。郊外に進出したシネマコンプレックス(複合映画館)との
共存ができず、観客が減少したことなどが理由だ。映画の灯が街から消えることに、関係者から
惜しむ声が聞かれた。
第一東宝は昭和24年、戦争の空襲による焼け跡に創業され、42年に現在のビルになってからは
3つのスクリーンで営業を続けてきた。
「映画ファンとしては残念、寂しいとしか言いようがない」と話すのは、第一東宝によく通っていた
市民団体「うつのみや映画友の会」の小室明男代表(58)だ。昭和の終わりから平成の始めにかけ、
当時の支配人の協力を得て、自主上映会を開いたことが最も印象に残っているという。「ディズニー
映画のファンタジアを上映したときには、映画館の階段下まで人が並んで大変でした」と懐かしんだ。
小室さんは「映画を教科書とすれば、映画館は学校。色々なことを教えてくれる場がまた一つ
なくなるのは寂しい」と悔しさをにじませた。
また、映画館の近くでティールームを経営する根本泰昌さん(33)は「映画と紅茶のコラボレーションを
企画していたので休館は残念です」と肩を落とした。
宇都宮の中心市街地の映画館を取り巻く状況は厳しい。第一東宝の中村恭三代表社員(71)は
休館の原因について「シネコンの進出、映画館に駐車場が併設されていないことなどが大きい」と
話す。中村さんによれば、平成13年には「千と千尋の神隠し」公開などもあり、年間売上高5億円、
観客動員数41万6000人を超えたという。
しかし、15年に「MOVIX宇都宮」(宇都宮市砂田町)、翌16年に「TOHOシネマズ宇都宮」
(同市陽東)が進出して売り上げは激減した。昨年は売上高4000万円まで落ち、「入場者数も
10分の1ぐらいまで減った。とてもやっていけない」(中村さん)という状況になってしまった。
中村さんは、親の代から家業として映画館を受け継ぎ、街を見守ってきた。「街中が少し暗くなるね」と
寂しげだ。
宇都宮の中心市街地には第一東宝を含め3つの映画館があるが、「宇都宮テアトル」(宇都宮市曲師町)
の運営会社が、ビルのオーナーと来年1月下旬の契約を更新せず、撤退することを決めている。今後、
運営会社が決まらない場合、「宇都宮ヒカリ座」(同市江野町)だけになる可能性もある。
中村さんは「このままでは栃木の街中から映画館がなくなってしまう。大変だと思うが頑張ってほしい」と
残る映画館にエールを送った。
ソース:MSN産経ニュース(2007.11.29 03:41)
http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/tochigi/071129/tcg0711290341000-n1.htm 依頼いただきました
http://news22.2ch.net/test/read.cgi/wildplus/1182861295/687