刑務所の受刑者たちが作った革かばんと缶バッジをセットで販売し、
バッジの売り上げの一部を犯罪被害者の支援に充てる取り組みを元
刑務官らが立ち上げた神戸市のアパレル会社が始めた。刑務所へ
安定的な量の仕事を供給するとともに、受刑者の更生に向けた努力を
被害者支援にもつなげる狙い。「メード・イン・刑務所」ブランドの
ターゲットは若者だ。
この会社は「PRIZONA(プリゾナ)」(神戸市中央区)。同市兵庫区で
店舗デザイン会社を営む山岸達也さん(36)が、受刑者の職業訓練の
一環として、刑務所内で家具や皮革などの製品づくりが行われていることに
目をつけ、「刑務作業製品をおしゃれにブランド化できないか」と考えた。
知人を通じて知り合った奈良少年刑務所の元刑務官、吉田幸世(ゆきよ)さん(38)
=奈良市=らに起業を呼びかけ、10月に同社を設立した。
吉田さんの「受刑者だけではなく、犯罪で傷ついた被害者や遺族も救いたい」
という熱意が企画に生かされ、売り上げの一部をためて、犯罪被害者や
その遺族の支援団体などに贈ることにした。
20〜30代の男女をターゲットにした革かばん(1万5千円前後)をデザインして
神戸刑務所(兵庫県明石市)に発注。必ずセットで購入してもらう1個300円の
缶バッジの売り上げの一部を寄付する仕組み。今月19日から同社の
インターネットサイトで販売を始めた。
バッジには活動をPRする役割も期待して「刑務所の建物の配置を上から見た
イメージ」をデザインした。単独での購入もできる。寄付した金額はネット上で
公表するという。
同社は「受刑者が更生のために塀の中で働いても、犯罪被害者支援とは
断ち切られてしまう。民間の企画力、デザイン力を生かして需要を高め、
少しでも被害者に還元できたら」としている。今後、刑務所に発注する商品の
幅を広げることも検討している。
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200711260006.html