少子化に伴う「大学全入時代」を迎え、九州を舞台にした受験生の獲得競争が激化している。
目立つのは東京の有名私大の攻勢だ。受験生はチャンスが増えると歓迎するが、狙い撃ちされた
地方の国立大勢の中には首都圏での入試を拡大するところもあり、優秀な人材をめぐる綱引きは過熱の一途だ。
注目されるのは、MARCH(マーチ)と呼ばれる明治、青山学院、立教、中央、法政の人気私大の動向だ。
1996年度に法政大が福岡入試に踏み切ったのを皮切りに、06年度に中央大、07年度には明治大も進出してきた。
地方に入試会場を設ける動きは全国的な傾向だが、狙いについて法政大入学センターは「地方の国公立大志望者が
ターゲット」と言い切る。自ら出向くことで「『受けてみよう』という受験生が増える」と説明する。
これに対し、受けて立つ国立大側も必死だ。「私大の九州進出は気になる」という宮崎大は07年度、横浜市での
教育文化学部の入試に踏み切った。横浜での入試を継続することで首都圏での存在感を高めていきたい考えで、
08年度には農学部も加える。同じく東京で水産、工、農学部の前期日程入試を行ってきた鹿児島大も08年度、
新たに水産学部の後期日程を加えるなど、対策に躍起となっている。
余波を受ける九州の私大の危機感も強い。福岡市の西南学院大が全学部統一日程を導入して学部別入試と合わせて
複数受験を可能にしたほか、08年度には大学入試センター試験利用入試の後期日程を導入するなど対策に躍起と
なっている。
背景にあるのは少子化の進展で、本年度、志願者数と入学者数が一致する大学全入時代に「事実上突入した」
(文科省)とされる。有名私大といえども安穏とはしていられない状況で、受験予備校「駿台福岡校」の古川利一
校舎長は「マーチも動いた。今後は早稲田大、慶応大、上智大などの九州進出もあり得る」と“黒船襲来”を予測している。
ソース:西日本新聞
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/20071124/20071124_021.shtml