独立行政法人・久里浜アルコール症センター(横須賀市野比五丁目)の研究で、
飲酒運転摘発者の三割がアルコール依存症の疑いがあることがわかった。
依存症患者の一部が常習的に飲酒運転を繰り返している実態が浮き彫りに
なった形。罰則強化だけでなく抜本的な依存症対策も迫られている。
同センターはアルコール依存症の予防を目的に臨床研究などを行っている。
県警との共同調査の形で、飲酒運転と依存症との関連について全国で初めて調べた。
運転免許証の取り消し処分者講習の受講者を対象に、依存症かどうか見極める
テストを実施した。飲酒習慣のほか、飲酒運転の摘発経験、離脱症状の有無などを
問う方法で、一月から八月までに七百九十三人のデータを集めた。
「過去に飲酒運転で摘発された経験がある」と答えた男性二百九十一人のうち、
アルコール依存症の疑いがあると診断された人は30・6%に上った。
摘発回数別でみると、初めて摘発された人の三割が依存症の疑いがあったが、
二回以上でも同じく三割いた。二〇〇二年の道交法改正後も依存症患者の半数が
飲酒運転をやめなかったという別の調査結果もあり、”確信犯”の実態がうかがえる。
アルコールが分解されるまでの時間認識でも、焼酎三合飲んだ場合で平均十一時間と
回答。飲酒運転をしたことのない人の平均回答より六時間も短く、飲酒の影響に対する
認識の甘さも顕著だった。
同センターの樋口進副院長は「依存症患者には法改正に伴う罰則強化だけでは
抑止効果があまり期待できない。欧米のように治療を充実させ、飲酒の正しい知識を
広めることが重要」と話している。
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