横浜市営地下鉄(あざみ野〜湘南台駅間)で導入されている全席優先席を見直すかどうか、
市交通局が市民に継続の是非を問う調査を始めた。
市営地下鉄の全席優先席は2003年12月、東日本の鉄道で初めて導入。
利用者から反対意見も出ているうえ、先行導入した阪急電鉄が10月、浸透せずに廃止を決めている。
市交通局は10日からホームページで、アンケートに初めて、全席優先席の継続に賛成か反対かの質問を盛り込んだ。
また、席を譲っているのを見たことがあるか、譲られたことがあるかなど計7項目で、30日まで受け付ける。
中間集計で、481件の回答があった。
「ほぼ毎日」か「たまに利用する」429人のうち、賛成205人、反対224人。
「ほとんど」または「全く利用しない」の52人は、賛成23人、反対29人で、いずれも反対がわずかに
上回ったが、意見はほぼ拮抗(きっこう)している。
市交通局経営計画課の岡崎三奈CS担当課長は「調査結果を受けて、すぐ廃止ということはない。
車内放送やステッカーだけでは浸透しておらず、市民がどう受け止めているのか、
把握する必要がある」と調査の狙いを語る。
一方で、「極端に反対が上回った場合、市民ニーズに合っていないことになるため、見直しを検討する可能性もある」
としている。
市営地下鉄の全席優先席は、市民から「優先席以外では席を譲らなくてもいいと考えている人が多い」
といった意見が寄せられたため、「譲り合いの心を持ち、他者を思いやる大切さを喚起する」
との“理想”を掲げて導入された経緯がある。
著名人らの声で車内アナウンスするなど、キャンペーンを展開した。
賛成意見も出たが、06年度は「限定的な優先席でないと席を譲らない」「白髪でつえをついていても、
譲ってもらえない」などの苦情や反対意見が約20件寄せられた。
04年2月の調査で、「譲ってくれる人が増えた」と答えたのは4%にとどまり、
「変わらない」は44%にのぼっていた。
(2007年11月22日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news001.htm