日本郵政グループのかんぽ生命保険で、年末調整に向けて例年10月末までに契約者に
送る保険料払い込み証明書の発送が最大で10日近く遅れていたことがわかった。遅れは
全契約数の約15%にあたる890万件にのぼり、同社には1万件を超える苦情が寄せら
れているという。データ処理段階で大量のミスが発覚し、作業がずれ込んだことが原因と
いい、同社の担当者は「実害はないはずだが、年末調整の提出期限の後に到着した可能性
もあり、心配をかけて申し訳ない」としている。
発送が遅れたのはすべての保険の契約数6000万件のうち、保険の種類にかかわらず
9月28日に指定口座から保険料を引き落とされた契約者。口座払い込みによる契約件数
(2630万件)では3分の1にあたる。
このうち西日本(富山、岐阜、静岡各県以西)の契約420万件については発送がすべ
て11月9日にずれ込み、東日本470万件の発送は同2〜7日になった。
かんぽ生命保険によると10月1日、東日本と西日本に1カ所ずつある情報管理セン
ターのコンピューターで証明書を作るためのデータ編集を始めた。この際に基になったの
は9月末時点の契約者データ。だが、このデータでは890万件が「保険料未納」の扱い
になっていたという。引き落としされた9月28日は金曜日で、そのデータが各金融機関
から送られてきたのは10月1日だったため、9月末時点では「未納」とされてしまった
という。
これが発覚したのは10月9日。編集を終えたデータを確かめたところ、保険料の未納
などですぐに証明書を送れない契約者数が、例年の4倍に増えていたことがきっかけだっ
た。同社は890万件について改めてデータを作り直したため、10月末までに発送を終
えることができなかったという。
同社には11月1〜15日、主に「証明書がまだ着かない」など証明書に関する苦情が、
全苦情のほぼ3分の2の1万件強寄せられた。担当者は「到着していなくても、要請があ
れば郵便局で発行することはできる。年末調整の提出期限に間に合わなくても通常、後か
ら証明書を提出することは可能で、実害はなかったはず」としている。
同社は民営化直前の今年6〜7月ごろに証明書の発送手順を決めたが、その段階では9
月28日の引き落とし通知が10月1日にずれ込むと想定していなかったという。証明書
発行のシステムは従来と同じものを使っていることなどから、「今回の発送遅れは民営化
とは関係ない」としている。
ソース:朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/1120/TKY200711200403.html