21日に行われたポーランド総選挙は即日開票され、自主管理労組「連帯」の流れを
くむ中道右派最大野党「市民プラットフォーム」が圧勝した。同じ連帯系の保守与党
「法と正義」は第2党に転落し、政権交代が実現する。有権者は今回、双子の弟で
あるレフ・カチンスキ大統領とともに要職を「独占」する首相のヤロスワフ・カチンスキ
政権に、明確な「NO」を突き付けた格好だ。
中央選挙管理委員会の中間集計によれば、得票率は「プラットフォーム」41.6%▽
「法と正義」32.0%▽旧共産党系会派「左派民主主義者」12%▽「農民党」8.8%。
「法と正義」はこれまで、「『倫理革命』の遂行者」(地元メディア)と呼ばれる
徹底した汚職摘発を進め、国民から評価された。しかし一方で、閣僚など政権幹部
14人を解任や辞任に追い込んだほか、国営企業や国営放送、中央銀行の幹部らも
次々と放逐し、「(弟の大統領と)政治を私物化した」(コラスルカ・ボビンスカ
公共政策研究所長)と批判されている。
カトリック大国とはいえ、レイプ被害者の女性の中絶まで禁止し、同性愛者の権利も
制限するといった保守政策も国民の反発を招いたことで選挙は注目を集め、民主化後、
過去最高の55%という高投票率へとつながった。
「法と正義」の対外政策の特徴は、支持獲得のために「いまだ消えぬ“歴史の傷”を
積極利用した」(政治学者)ことに尽きる。民主化後、同国の欧州連合(EU)加盟の
最大の功労者であるドイツについて、ナチスの蛮行を蒸し返して批判。ある著名大学教授は
「ポーランドは自国を西欧文明の一員と定義しながら、反ドイツへと転じた。その結末は
欧州内での孤立でしかなかった」と指摘する。ロシア、EUとの亀裂も一段と深まった。
「プラットフォーム」は対米協調派であると同時に、独露やEUとの関係を重視する
現実派。規制緩和や所得税の一律課税(15%)を通じて、年率6%強の成長を遂げる
経済のさらなる発展を目指す。同党は今後、農民党との連立交渉を開始し、カチンスキ
政権が残した課題に取り組む。ただ、3年の任期を残すカチンスキ大統領が法案拒否権を
持っており、政権運営は楽観視できない。
ソース MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/071022/erp0710222312006-n1.htm