ニンジン、カボチャ、ナス、トマト、ワサビ……。野菜を原料にした焼酎が各地で続々と誕生している。
多くは特産野菜のPRや規格外で売れない野菜の活用を狙う商工団体や農業団体などが仕掛けているが、
大手メーカーも参入した。
東京都内のニンジンの出荷量の5割近くを占める清瀬市。市や清瀬商工会などは7月、
特産のニンジンを使った焼酎「君暮らす街」(720ミリ・リットル)を発売した。
製造は酒造会社に依頼、ニンジン独特のくさみを消し、フルーティーで女性にも飲みやすい仕上がりになったという。
市内の酒店で3000本を販売。商工会の越石敏明事務局長(61)は「20日間で売り切れ、問い合わせも多かった。
継続して生産することも考えたい」と話す。
福島県の農業団体「相双(そうそう)地方園芸振興協議会」は、カボチャ焼酎「ふくしまの黄色いハート」の大増産を決めた。
2005年は600本、06年は3000本だったが、今月下旬に今年分の1万3000本(1本720ミリ・リットル)を売り出す。
原料は、収穫したカボチャの2割を占める規格外品。協議会は「甘みのある味わいが好評」と手応えを感じている。
同県郡山市の「笹の川酒造」では4年前、県内の農業団体の依頼で野菜焼酎の製造を始めた。
その後、東日本各地の農業団体や商工会、酒店などからも依頼が相次ぎ、
今ではナス、トマト、サトイモ、ホウレンソウ、ワサビなど約20種を手がける。
米や麦の麹(こうじ)で作ったもろみに野菜を加えて発酵・蒸留させるが、
香りを生かすために野菜を焼いたり、煮たりするなど試行錯誤の連続。
山口哲司社長(54)は「焼酎ブームに加え、いろいろな味を楽しみたい消費者が増えたことが人気の理由ではないか」
と分析する。
また、サッポロビール(本社・東京都渋谷区)は、今年8月にワサビ焼酎を発売。
04年からシソ焼酎を販売している宝酒造(同・京都市)の広報課は
「市場規模としてはまだ小さいが、消費者のニーズは多様化しており、面白い分野になりそうだ」と話している。
読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071013it07.htm