●左右違うハサミ脚 驚異の体長/米国・ボストン
ボストンに着いたら、本場のアメリカンロブスターを思う存分食べるぞ!と意気込んで訪ねた
ニューイングランド水族館。仕事を済ませ、スタッフが夕食に招待してくれたのは良いが、いきなり
寿司(すし)屋に連れて行かれたのには参った。
察するに、日本の客でも来なければ接待で寿司屋へ行けないから……なのだろうが、ボストン
にはたった1泊しかしないのに、アメリカンロブスターはどこへ行ったの?と泣きたくなる気分だった。
アメリカンロブスターは、巨大なハサミ脚と体長1メートル以上という巨体を持った世界最大の
エビだ。姿形がザリガニに似ているところから、ウミザリガニと呼ばれることもあるが、スカンピの
名で知られるアカザエビの仲間で、商品名のオマールエビの方が一般的かも。
記録によると、バージニア州沖で捕獲されたものは何と19.3キロ、非公認なら21.8キロ
というバケモノのような記録がある。
面白いことに、ハサミ脚は左右で異なり、一方は刃に当たる部分に大きくて頑丈な臼歯が
並んでいて、貝などを割るのに用いるが、もう一方には多数の小さな歯が並んでいて、餌を
挟んで口に運ぶのに使われる。水中では人間の指くらいならへし折ってしまうほどの力が
あるが、水から揚げると、空気中でその重さを支えるのに精いっぱいのようだ。
最近は、このエビもアメリカから“活(い)け”で空輸されて来るから、日本でも本場並みの
鮮度で食べることができる。何を隠そう、我がエビとカニの水族館で展示しているのも、輸入
業者に特別に頼んで、特に大きいヤツを送ってもらったものだ。現在、そっくりさんのヨーロ
ッパロブスターと共に展示しているので、比べてご覧になってはいかが?(すさみ町立エビとカニの水族館長 森 拓也)
http://mytown.asahi.com/wakayama/news.php?k_id=31000000710100002