英語の検定試験として200ヶ国以上で実施されているTOEFLをめぐって、今、トラブルが相次ぎ、
受験者から不満の声が上がっています。海外への留学を左右する権威ある試験に、一体、何が起きているのでしょうか。
必死にパソコンに語りかける受験生たち。去年7月から始まったTOEFLのインターネットテストです。
文法がなくなった代わりにスピーキングが導入され、声がネットを経由してアメリカに届けられます。
米・ニュージャージー州プリンストン。この街にTOEFLを実施し、データを管理している非営利団体ETSがあります。
TOEFLは、英語を母国語としない人が英語圏の大学に入学するために必要とされ、受験生は世界で年間およそ80万人です。
ところが、その信頼を裏切るトラブルが相次いでいるのです。
ロサンゼルスの州立大学に留学を希望していた林さんは、今年2月、神戸でTOEFLを受験しました。ところが・・・。
「本当に頭の中が真っ白になって。(パソコンのトラブルで)動かないんですよ、どうしても。
(答えを)選べなくて、動かないんで、もう泣きそうになって」(林 美希 さん)
もう1人、原田さん(仮名)の場合は途中で画面が落ち、別のパソコンで最後までテストを受けました。
しかし、ニューヨーク州立大学に願書を出していたのに、肝心の点数は返ってきませんでした。
「(ETS窓口が)なんでスコアが出てないのかっていうのが、分かってなくて、
もう一回、受けてもらわないとダメですと言われたんです」(原田さん【仮名】)
TOEFL対策を指導する語学学校は・・・。
「トラブルが非常にたくさん出ているわけです。
なので、(トラブルが)あるかもしれないという前提でお受けになった方がいいかもしれないです」(イフ外語学院 中野正夫 学院長)
林さんと原田さんの2人は今年7月、大阪で再試験を受けました。ところが、またしても・・・。
「ここの部屋の機械は全部動かないので、今日は中止って言われて・・・」(林さん)
「またどころか、ありえないってかんじ」(原田さん【仮名】)
小学生もTOEFLをお試し受験するほど英語熱が高い韓国では、トラブルが社会問題にまでなっていました。
「ETSの対応は誠意がない。(韓国では)みんな怒ってます」(韓国綜合教育院 金成烈 院長)
ETSは、世界各地で行われる試験の運営をアメリカ資本の関連会社に委託していて、
最近のトラブルの原因はサーバーの不具合などと説明します。
原田さんは、テスト運営会社の東京事務所に不信感をぶつけました。原田さんは結局、TOEFLのスコアが間に合わず、
9月に留学予定だった大学から入学をキャンセルされました。
「これのせいで一年間分の時間を無駄にされたっていう、すごい打撃ですね」(原田さん【仮名】)
ETSはJNNの取材にこう話しています。
「日本の受験者の皆さんのことは、とても大切に考えています。世界でも成績がトップクラスですし、
マーケットとしても非常に重要な位置を占めている」(ETS広報担当者)
このままでは、その権威が失墜しかねないTOEFL。ネットのリスク管理など早急な対策が求められています。
MBS
http://www.mbs.jp/news/jnn_3668726.shtml