サルやクマなどの野生動物とのすみ分けや中山間地域の景観保全のため、
県が県東部で実施している安心で美しい郷づくり事業(カウベルトの郷づくり)で、
魚津市稗畠のカウベルト(牛の放牧帯)に放牧されている繁殖雌牛(妊娠牛)二頭のうち一頭が子牛を出産した。
県東部のカウベルト六カ所のうち最初の出産で、子牛は元気に親牛の後を歩き回っている。 (武田寛史)
出産したのは黒毛和種の繁殖雌牛「レイコ(愛称)」(四歳)。二十二日午後二時ごろ、
沢のある杉林の中で自然分娩(ぶんべん)したとみられる。
同日午後四時に県新川農業普及指導センター(黒部市)の職員が子牛の誕生を確認した。
出産予定日は十九日で三日遅れの出産だった。子牛は雌で、体重は三二・五キロ。
カウベルトを管理している稗畠営農組合と稗畠地区は、産前産後は親牛に配慮して静かに見守ってきた。
子牛が生まれてから無事に一週間が経過したことから、同営農組合では二十九日に子牛の命名式を現地で行う。
カウベルトは黒部市三カ所、魚津市二カ所、朝日町一カ所に設置され、
十一月上旬までソーラー電気牧柵で囲まれた放牧地の中で繁殖牛の放牧を続ける。
自然環境で健康な母体づくりができ、自然分娩で出産できることから繁殖雌牛が放牧に選ばれている。
このうち黒部市宇奈月温泉大原台の繁殖雌牛の出産予定日は二十二日だが、まだ生まれておらず、近く出産するとみられる。
以降も、各放牧帯で出産が続くが、十一月上旬の放牧終了後は、
牛を貸し出している県農林水産公社大家畜供給センター(富山市)で出産することになる。
新川農業普及指導センターは「子牛は、親牛と別の繁殖雌牛一頭が守っているようなので安心できる状態。
親牛は子牛を守ろうとして警戒心を強めているのであまり近づかないよう注意してほしい」としている。
中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/article/toyama/20070928/CK2007092802052264.html