雫石町の小岩井農場まきばの天文館は23日、世界最大級の長さ約21メートルの
空気望遠鏡を完成させた。空気望遠鏡は筒がない単純な構造ながら設計が非常に
難しいとされる。夜には月の観察に成功。斉藤政宏館長(53)は「シンプルな望遠鏡で
月が見える不思議と面白さを子どもたちに伝えたい」と意欲を見せている。
完成した空気望遠鏡は、長さ約21メートル、口径約15センチ。倍率は200倍。
本体の両端に取り付けられた2枚のレンズの間に筒はなく、絞りの穴を開けた35枚の
板を50センチ間隔に配置して像を結ぶ仕組み。
斉藤館長が中心となり、岩手大天文部OB会などの協力を得ながら3月から製作を
進めていた。ポーランドの天文学者ヨハネス・ヘベリウス(1611―87年)が使った空気
望遠鏡を描いた版画を基に、木製滑車と麻のロープで望遠鏡をつる構造などを忠実に
再現した。
組み立ては22日から始まり、10時間以上かかって23日の夕方完成。家族3人で
訪れた会社員長内豊さん(40)=青森県弘前市=は「こんなに長い望遠鏡を見たのは
初めて。筒がないのが不思議」と驚いていた。
同館は2003年に長さ約11メートル、倍率100倍の空気望遠鏡を作った。その後
4年にわたり、さらに完成度の高い望遠鏡を目指して研究を続け、同日完成した
望遠鏡は5台目。
月の観察会には親子連れなどが参加し、順番に月を眺めた。斉藤館長は「版画を
参考に推測した設計にはずれがあって苦労したが、約11メートルの望遠鏡よりも
鮮明に月が見える。多くの人に見てもらいたい」と話す。
24日も午前10時から午後4時まで同館前の広場で展示見学を行い、午後6時からは
月の観察会(曇りと雨の場合中止)が開催される。望遠鏡は30日まで野外展示される。
【写真=完成した世界最大級の長さの空気望遠鏡を眺める来場者】
http://www.iwate-np.co.jp/news/y2007/m09/d24/kuki_bouenkyo.jpg ソース 岩手日報
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20070924_6