ぼくのメロン大作戦 東箱崎小4年 安河内一輝君 観察日記
給食で出たアンデスメロンの種を自宅のベランダで大切に育て、猛暑の夏を乗り越えて収穫に
こぎつけた小学生がいる。福岡市立東箱崎小4年の安河内一輝君(10)。夏休みの自由研究
としてまとめた観察日記「ぼくのメロン大作戦」は校内で話題になっている。
▼5月14日給食にメロン種30粒
▼6月初旬 自宅ベランダで種まき
▼6月 芽が出たつるは上へ上へ
▼8月中旬 帰省で“干ばつ”ピンチ
▼8月31日 重い895グラム
きっかけは5月14日。給食のデザートが好物のメロンだった。「お代わりもしたけど、もっと食べたい」。
そう思った安河内君は、取り分けた種30粒を持ち帰った。
初夏の天日で乾燥させた種をプランターにまいたのが6月初旬。育て方はインターネットで調べた。
米のとぎ汁を毎日与えると2週間で発芽した。本来なら地面にはわせてつくるメロンだが、
鉄筋コンクリートの団地6階。アサガオを栽培するように棒を立てると、つるは巻き付き、上へ上へと伸びた。
ピンチもあった。お盆に両親の実家に一週間ほど帰省して戻ると、土はひび割れ、茎や葉はかさかさになっていた。
慌てて水をやると、力強くよみがえった。ハトが巣を作ろうと近づいてきたときは、お母さんが追い払ってくれた。
8月中旬。白い花が咲いた。よく見ると小さな実が3つ。立派なメロンになるようにと1つだけを残して間引いた。
実は膨らみ、つるつるだった緑の表面に網の目のような模様が浮き出た。
8月31日、収穫。重さは895グラム。安河内君の顔と変わらないほど大きくなっていた。両手で持つと、
ずしり重い。甘そうな香りもするが、まだ熟しておらず、冷蔵庫で保管し、今月末に家族で食べるのを楽しみにしている。
ただ、ちょっと心配なことがある。このメロンがうまいかどうかは分からないというのだ。
日本種苗協会(東京)によると、安河内君が給食で食べたメロンは、おいしく均一に育つよう品種を交配させた
F1種という種から育ったとみられる。一世代に限ってのうまさは“保証”されているものの、F1種から採れた
二世代目の種になると果実の品質は安定せず、味は予想がつかないといわれるからだ。
観察日記を読んだ担任の上野理枝教諭は「育つかな、という素朴な疑問に挑戦した真っすぐな行動力に脱帽します」
と評価。安河内君は「おいしかったらまた育てたい」と張り切っているが、果たしてこのメロン、甘いか否か‐。
2007/09/22 西日本新聞
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/fukuoka/20070922/20070922_020.shtml