心臓の血管(冠動脈)が狭まる狭心症などの治療に用いる細い管(カテーテル)で、
外径1.4ミリという世界で最も細いものを国立循環器病センターの竹下聡・心臓血管内科医長やテルモなどが開発した。
従来のものより断面積が半分以下のため、より細い血管まで治療できる。
挿入する皮膚部分からの出血の危険性が低くなる利点もある。
冠動脈が狭まったり詰まったりすると、そこから先に血液がうまく流れず、
狭心症や心筋梗塞(こうそく)の胸痛発作が起きる。この治療に、カテーテルを冠動脈に通してその部分を広げ、
ステントという、金属でできた筒状器具を血管の内側に挿入する方法が広く行われている。
通常、治療に使われているのは外径2.1〜2.7ミリ程度。新たに開発したカテーテルの断面積はこの半分以下のため、
冠動脈の曲がった部分や細い部分まで届き、従来より治療ができる範囲が広くなる。
さらに、内径2.5ミリほどの手首の動脈からのカテーテル挿入にも適している。
カテーテルは従来、足の付け根にある太い動脈から入れることが多かった。
だが治療後に6時間程度は安静にしなければならず、その後も再出血することが多かった。
一方、動脈の細い手首部分から入れれば出血の危険性が低く、安静時間も半減できる。
竹下さんは「従来のものより軟らかいので操作しづらく、医師の技術力が要求される。
だが治療の質を上げ、患者の負担も減らすことができる」と話している。
朝日新聞
http://www.asahi.com/life/update/0919/TKY200709190045.html