東京芸術大学が大学院にアニメーション専攻を新設する。大学院にアニメ専攻ができる
のは全国初。修士課程で16人を募集し、専門家としての才能を発掘、作家や監督、
研究者を養成する。
国際的に活躍できるアニメの監督や研究者を育成するため、東京芸術大学(宮田亮平
学長)が大学院にアニメーション専攻を新設することが17日、分かった。芸大は文部
科学省に設置を申請しており、11月に予定される大学設置審議会で正式決定される。
大学院にアニメや漫画の専攻ができるのは全国で初めて。芸術系大学の最高峰に
新設されることで、アニメの芸術性が学問的にも認められた格好だ。
文科省や大学関係者らによると、新設するアニメーション専攻は、日本の文化として
認知されつつあるアニメを、より積極的に世界に発信していく狙いもある。
来年度から映像研究科の修士課程で16人を募集する。大学の学部段階で絵の描写や
物語の構成方法を学んだ学生を対象に募集をかけ、アニメ専門家としての才能を発掘、
作家や監督、研究者を養成する方針だ。
カリキュラムは実習を重視。制作技術や物語の構成だけでなく、3Dグラフィックなどの
立体アニメも研究する。外部プロデューサーも招聘(しょうへい)することも検討している。
東京芸大には美術学部、音楽学部とそれぞれの大学院があるが、平成17年、総合芸術
大学への転身をはかるため、学部を持たない大学院だけの映像研究科を横浜市に新設。
映画専攻とメディア映像専攻を設置し、黒沢清監督や北野武監督らを教授に迎えて話題になった。
アニメや漫画をめぐっては、京都精華大が12年に「マンガ学科」を新設。その後、文星芸術大、
東京工芸大、東京造形大などで同種の学科やコースが続々と誕生した。今回、東京芸大の
大学院も名乗り出たことで、追随する動きがさらに広がりそうだ。
歴史浅く時期尚早?
アニメやマンガの文化性は認めても、学問としての芸術性を認知することに異論もある。
田中英道・国際教養大特任教授(文化史)は「アニメは歴史が浅い。芸術としての内容と質は
足りずジャンルも確立していない。私大ならともかく、国費を投入した国立大で研究するには
時期尚早ではないか」と話している。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0709/18/news072.html