プライド守る高機能 男性用尿ケア用品、続々
http://www.sankei.co.jp/seikatsu/kenko/070909/knk070909000-1.jpg http://www.sankei.co.jp/seikatsu/kenko/070909/knk070909000-2.jpg ユニ・チャームの「メンズガードスリム」
「尿漏れ」に悩む中高年男性が、意外に多い。出産の影響などで増える女性の尿漏れと比べ、
認知度は低いため周りに相談できず、有効な対策を講じられない人も少なくない。
こうした需要に応える男性専用の排尿ケア用品が増えてきた。吸水性を保ちながら、
装着しているのがわからないよう工夫が凝らされている。(田辺裕晶)
60万人の悩み
日本コンチネンス協会の西村かおる会長によると、男性の尿漏れで吸水パッドなど専用品が必要なのは、
前立腺肥大の初期症状などで突然強い尿意が起きる「切迫性尿失禁」や、
前立腺肥大や前立腺がんの手術後に一時的にせきやくしゃみなどで尿が漏れる「腹圧性尿失禁」。
50歳を越えたころから徐々に増える。下着を上げた後、
尿道内に残った尿が漏れる症状は多くの男性が経験している。
ユニ・チャーム(東京)が50〜75歳男性2500人を対象に行った調査(2月実施)では、
「ズボンを濡(ぬ)らすほどの尿漏れを週1回以上経験している」と答えた人は2.6%いた。
同社ヘルスケア事業部、鈴木輝雄さんは「人口から推定すれば、
尿漏れに悩む男性は国内で60万人はいるはず」と話す。
吸水パッドなどで対処している人はわずか4%。妻が気付いても、
紙パンツなど“介護感”があるものは本人のプライドを傷付けるのを恐れて渡せないことも多いという。
「『男も尿漏れするとみんなが知ってくれたらどんなに楽か…』。そんな声が寄せられています」と鈴木さん。
100ccまでOK
ユニ・チャームでは伸縮する素材と前開き機能で下着のような履き心地にした
「吸水下着スリムウェア」を4月から販売しているほか、11月には男性専用パッド
「メンズガードスリム」を発売する。三角形状でふだんの下着の下に装着、
局部だけを包み込むものでお尻にパッドが回り込まず、またずれも起こさない。
100ccまで尿を吸収できるが、女性用に比べて横幅を広げることで
外観に影響しない薄さで必要な吸水量を確保している。
「従来の尿ケア用品にあった高齢者向けのやぼったいイメージを一新し、
ファッション性を持たせることを重視しました」と話すのは白十字(東京)マーケティング部の吉井泉さん。
同社が来月発売予定の吸水パンツ「無頼」は、黒いボクサータイプだ。吸水量は30ccで、
主に尿道内に残って漏れる尿への対策が目的。吸水素材を内部に縫い込んであるが、
こちらも薄型で外からはわからない。また洗えば何度でも繰り返し使用することができる。
見られても安心
平成3年から男性用尿漏れパッドを販売している花王(東京)のサニタリー事業グループ、
中尾良雄さんによると「軽失禁用品の国内市場は約100億円。このうち男性用は約2億円に過ぎません」
男性は女性のように生理用品を買う習慣がないうえ、男子トイレにはパッドを捨てるゴミ箱もない。
また残尿漏れは気を付けて排尿すれば防ぐことができる。こうしたことで、
尿漏れに悩む人は多いのに、ケア用品の使用者はなかなか増えないのだという。
「シェービング用品や育毛剤と同様に身近で使ってもらえる商品を、
今後は開発していきたい」と中尾さんは話す。
「団塊の世代」が尿漏れに悩む年齢層になり、市場拡大を期待する声もある。
ゴルフ場の更衣室で見られても安心な白十字の「無頼」は、団塊マーケットをかなり意識している。
吉井さんは「“ちょい漏れオヤジ”は、実はたくさんいます。活動的な団塊世代のプライドを傷付けずに、
気軽に買えるような商品を増やし、支持を獲得していきたい」と話している。
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