日本文藝家協会は3日、「文藝的著作物の引用についての見解」を示した。
著作物は、創作された時点で、著作者に著作権が生じる。そのため、著作者
以外の人が使用する場合、著作者に許諾をとる必要がある。しかし、条件に
よっては許諾が不要(注1)で、自説の補強や報道の材料などを目的とした引用
もそれにあてはまる。ただし、自説と引用部分が主・従の関係であること、引用
部分をわかるようにすること、出所を明示することなど、守らなければならない
ルールがある(著作権法32条1項、48条1項)。
今回の見解では、著作権法にまつわる紛争が増加する中で、著作権法に沿った
「適法な引用」とは何かについて述べられている。著作権法に基づいた「著作権
法上の規定」を述べたうえで、引用にあたるのか無断掲載になってしまうのかの
判断が特に難しい短詩型作品(詩歌)の扱いについてふれている。
「法律上は議論の余地がある」としながらも、詩歌を冒頭に掲載し、寸評や短い
鑑賞文を付けているものは「許容されるべき」、一方、詩歌を掲載しその詠まれた
場所の写真や地名の紹介を載せただけのものは「適法な引用とは言えない」と
している。
引用することもされることも多い文藝家としての見解ではあるが、最近はホーム
ページやブログ等でだれでも簡単に情報を発信できる(注2)。好きな作家や詩人
の作品を引用する際に、著作権の侵害にならないよう、引用についての正しい
知識をもっておこう。
注1:著作権の保護期間が過ぎているもの、国や地方公共団体が作成した文書の
転載、学校教育で用いるための複製、私的使用の複製など。
注2:たとえ個人的で非営利目的のホームページやブログであっても、世界中に
公開されるものであり、私的使用の複製の範囲外になる。
■アメーバニュース 7月12日 12時00分
http://news.ameba.jp/2007/07/5761.php ■関連リンク
・日本文藝家協会HP
http://www.bungeika.or.jp/top.htm ・文化庁 著作権なるほど質問箱
http://bushclover.nime.ac.jp/c-edu/index.html