ストレスが引き金でおなかが太り、メタボリック症候群(内臓脂肪症候群)
になるのは、脳で食欲をつかさどる視床下部の働きよりも、脂肪組織で
交感神経から分泌される神経伝達物質「神経ペプチドY」(NPY)が増える
局所的な影響が強い可能性があることが分かった。米ジョージタウン大
医療センターなどの研究チームが5日までに、マウスの実験成果を
米医学誌ネイチャー・メディシン電子版に発表した。
研究チームは、脂肪細胞でNPYを受け取る受容体タンパク質の一つ
「NPY2R」の働きを薬物注射で抑えると、肥満や同症候群を防げること
を発見。新たな肥満治療薬を開発できる可能性があるという。
研究チームは、マウスを毎日1時間ずつ氷水に入れたり、同10分間
ずつ攻撃的な仲間がいるかごに入れたりする実験を長期間続けた。
この際、通常の餌を与えていると目立った変化はないが、脂肪分と糖分
が多い餌の場合、腹の脂肪組織で、NPYとNPY2Rを生み出す遺伝子
の働きが強まった結果、脂肪細胞が増殖して太った上、メタボリック
症候群に似た状態になった。
しかし、腹の脂肪組織に特定の薬物を注射し、NPY2Rの働きを抑えると、
肥満などを防ぐことができた。
NPYはこれまで、脳の視床下部での働きが注目され、同部での働きを
抑える肥満治療薬の研究も進んでいる。
ソース(フジサンケイ ビジネスアイ)
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200707060052a.nwc