「やむを得ない事情で購読を解約したいが、申し入れたら解約金を請求された」
「宅急便ですというのでドアを開けたら新聞拡張員だった」
こうした新聞販売契約に関するトラブルに関して、苦情や相談を受け付ける
「新聞契約トラブル110番」が7月7日(土)、大阪市で開設されることに
なった。弁護士、司法書士、消費生活相談員らで構成、消費者行政にあり方に
ついて調査・研究・提言活動をしている「消費者行政市民ネット」(代表・国
府泰道弁護士)が初めて取り組む。同ネットによると新聞の訪問販売による強
引な勧誘や、公正競争規約の上限を超えるような高額な景品類を提供され、長
期の契約をさせられたり、中途解約すると景品の返還を求められるような被害
が増加しているという。
大阪府消費生活センターの2005年度の相談概要では新聞販売に関する相談
は20位だが、70歳以上の相談の中では9番目に多くなっている。訪問販売
に限定すると新聞販売に関する相談は「工事・建築」「浄水器」に次いで3番
目にあがっている。その手口も悪質なものが多い。たとえば「宅急便です」と
か「町内会の者です」と身分を偽ってドアを開けさせたり、しつこく契約を迫
るなど特定商取引法違反になるような勧誘もある。さらに1台10万円もする
電動自転車や、8万円相当のマウンテンバイクなど景品表示法の上限を超える
景品を提供して契約させるケースもあるという。
引越しのために購読を解除しようとしたり、白内障をわずらって新聞が読めな
くなったなど、やむを得ない事情のため購読中止を申し入れると、解約金や違
約金、渡した景品の返還などを求めるような不適切な対応も見受けられた。ま
た、新聞の訪問販売でよく見受けられるのが「拡張団」や「拡張員」と呼ばれ
る契約を専門とする勧誘員による強引な勧誘だ。これらは新聞販売店と委託契
約を結び、新聞の購読契約期間によって手数料が支払われるシステムを取って
いることが多い。
こうした形態のため新聞社本体は「販売店がしたこと」と苦情に十分に対応し
ないこともあり、責任の所在ははっきりしないという問題がある。日本新聞協
会では「新聞の訪問販売に関する自主規制規約」「新聞の訪問販売に関する自
主規制規約実施細則」などを定めて適正化に取り組んでいるほか「各新聞社ご
とにお客様センターなどの窓口で消費者の苦情相談を受けています」(同協会)
としている。しかし同ネットは「新聞業界は自主的な苦情の受け付け、トラブ
ルの処理機関として“地域別新聞訪問販売委員会”を設けているが、一般には
広く知られておらず、苦情やトラブルの適正かつ速やかな解決が図られている
とは到底いえない状況だ」としている。
「国民の知る権利にこたえ、民主主義社会の発展を支える新聞は国民の生活に
は必要不可欠な存在だ。しかしいくらいい記事を書いても購読勧誘の現場でこ
うした問題を放置すれば新聞社のイメージを損ない、国民の新聞に対する信頼
を失いかねない」と同ネットは、110番に寄せられた相談や苦情などをもと
に、新聞業界団体や行政に適正化を求めていく方針だ。
http://www.janjan.jp/media/0706/0706298069/1.php