奈良市職員休暇休職問題:市、勝訴の公算大も…元職員の給与回収に厚い壁−−あす判決
◇2300万円返還、勝訴の公算大も…自宅は市住、車は別名義
奈良市環境清美部の元職員、中川昌史被告(43)=懲戒免職、職務強要罪で公判中=の長期欠勤問題で、奈良市などが欠勤中に支払った給与など約2300万円の返還を求めた訴訟の判決が5日、奈良地裁で言い渡される。
中川被告が第1回口頭弁論に出廷しないまま結審し、市側勝訴の公算が大きいが、「血税」の回収は難航しそうだ。
訴状によると、中川被告は01年1月〜06年10月の5年10カ月、病気休暇を繰り返し、勤務したのは8日と6時間だけ。
この間、市役所に度々出入りし、妻(45)=競売入札妨害罪で罰金刑確定=が代表を務める建設会社の営業活動をしていた。
市は判決後、債権回収の強制執行手続きに入り、中川被告名義の不動産や預貯金などの財産を差し押さえる方針だ。
しかし、市によると、中川被告の自宅は戸建ての市営住宅で、建物や土地は市の所有。
増築した建物もあるが、「市に無断の違法建築で、差し押さえるわけにもいかない」(市人事課)。
建設会社から中川被告に給与が支払われた形跡もなく、愛車とされた高級外車も別人の名義だったという。
さらに市は預貯金の有無なども地元の銀行を中心に照会する予定だが、プライバシーの壁もあり、めどはたっていない。
このため、裁判所に財産開示手続きを申し立てることも検討している。
結局、現時点で把握している確かな資産は、中川被告が裁判所に納めた500万円の保釈保証金のみ。
市人事課の小西彰課長補佐は「債権の時効は10年なので、粘り強く回収したい」と話している。
【阿部亮介、石田奈津子】
毎日新聞 2007年7月4日 大阪夕刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/kansai/news/20070704ddf041010009000c.html