遺族年金:本妻に支給すべきと逆転判決 東京高裁
本妻と離婚しないまま内妻と同居中に病死した東京都の男性の遺族年金を巡り、本妻と内妻のどちらが受け取るかが争われた訴訟で、東京高裁は11日、内妻を受給者とした1審・東京地裁判決(06年12月)を取り消す逆転判決を言い渡した。
小林克已裁判長は「本妻と事実上の離婚状態だったとまでは言えない」と述べ、本妻に受給資格を認めた。
男性は90年に結婚したが、95年から内妻と同居し、02年に肺がんで死亡。遺族年金は本妻に支給され、内妻が社会保険庁を相手に不支給処分の取り消しを求め提訴した。
判決は、本妻との婚姻関係が長期にわたって完全に実体を失っている場合に限り、内妻に受給資格があると指摘。
今回は(1)生前に離婚の合意はない(2)別居後も本妻に送金したり税務上配偶者とし、一緒に外出することもあった(3)男性は身勝手な行動に終始し、離婚訴訟を起こしても認められる余地はなかった−−ことなどを挙げ、こうしたケースに当たらないと判断した。
内妻については「深い愛情を込めて男性を看護し、固いきずなで結ばれていたことがうかがえる」と理解を示したが、訴えは認めなかった。
1審は「男性との同居期間は本妻の約4年に対し、内妻は約6年5カ月。
本妻への手紙や遺書などから、男性は一貫して離婚を望んでおり、本妻との婚姻関係は実体を失っていた」と逆の判断をしていた。
【北村和巳】
毎日新聞 2007年7月11日 20時41分
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070712k0000m040072000c.html