成田空港建設反対派と機動隊が衝突し、警察官3人が殉職した1971年の「東峰十字路事件」の
元被告11人が今月9日、千葉県成田市の事件現場にある慰霊碑を初めて訪れた。
事件から36年を経て、すでに中高年になった元被告たちは、命の重みをかみしめながら献花した
という。
事件は71年9月16日に発生した。成田空港に隣接する通称「東峰十字路」で、成田空港用地を
強制収用する第2次行政代執行を巡って、反対する約3200人と、機動隊約5300人が衝突。
神奈川県警から応援派遣された20〜40歳代の警察官3人が火炎瓶や角材の攻撃を受けて死亡
した。
慰霊碑を訪れた11人は、傷害致死罪などで起訴された57人のうち元被告約20人でつくる交流会
メンバー。50歳代後半から60歳代前半で、先代が開拓した土地を受け継いだ専業農家が多く、
現在は空港周辺で野菜や果物を栽培するなどして生活している。
かねて事件現場の再訪を願っていた同会幹事の秋葉清春さん(56)(成田市川栗)が「3人の警察
官の霊にも花を手向けたい」と呼びかけ、ようやく実現した。
11人は、千葉県警が事件の4年後に建立した慰霊碑を前に、花束と線香を手向け、黙とうした。
殉職した3人と同じ小隊で、自らも大けがをした元神奈川県警警察官、川田三郎さん(61)は「主義
主張を乗り越え、献花してくれたのだろう」と話した。秋葉さんは「最愛の家族を残して殉職した3人
を思うと切ない。みんなで『安らかにお眠り下さい』という気持ちで祈りをささげた」と話す。
■読売新聞 (2007年6月25日14時44分)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070625i405.htm