コムスン事業所、都の監査後4カ月で3分の1に
コムスンが、東京都から事業所の一斉監査を受けた後、訪問介護サービスを提供する
都内の事業所数を4カ月で3分の1に減らしていたことが分かった。都は、経営能力を
超える運営拡大が不正の温床になったと指摘、同社側は「配置を適正化した」と説明
している。だが、事業所廃止時に利用者を別の事業所に移すと報告しながら、その事業所
を2週間後に廃止した例もあり、同社の場当たり的な姿勢が表れている。
都によると、コムスンは1月現在で訪問介護サービスを都内の約190事業所で展開して
いたが、2月に7事業所の廃止届を提出したのに続けて、3月に27、4月に12、5月には
76事業所の廃止を伝えてきた。直近では66事業所に減った。
都は昨年12月から今年2月にかけて、コムスンの186事業所に立ち入り検査を実施。
専従の管理者の不在や訪問介護計画の未作成、介護報酬の不正請求などが次々と
見つかった。都には利用者から「訪問介護の予約変更を伝えようとしても、だれも電話に
出ない」といった苦情が相次いでおり、調べると、応対する職員の不足などの実態が
分かった。
都によると、同社は利用者に身近なサービスをアピールしようと、急速に事業所数を拡大。
半面、介護サービスの技術を持つ人材育成が間に合わず、必要な職員を十分にまかなえ
なかったとみられる。
都幹部は「一部に処分逃れのために自ら閉鎖した事業所もあったようだが、監査で裏付け
られたずさんな経営を改善するには、経営を縮小せざるをえなかったのだろう」と指摘。
コムスン側は「従業員を集約し、業務の適正化を進める」とコメントしている。
ただ、閉鎖した事業所をめぐり、利用者のサービス確保に不安が残っている。
5月16日、都に提出された港区の事業所「芝浦ケアセンター」の廃止届の添付書類には、
利用者約30人の受け入れ先として、同社の「六本木ケアセンター」と記されていた。しかし、
その六本木のセンターは31日に突然、廃止届が提出された。ほかの約50事業所の廃止届
とともに、コムスン社員がまとめて持ってきたという。
2月に葛飾区の事業所を廃止した際も、利用者を区内の別の事業所で受け入れたが、
1カ月後に閉鎖され、また別の事業所で受け入れるとの報告もあったという。
都は「どこまで利用者のサービス確保に努めているのか見えない部分がある」と話す。
http://www.asahi.com/life/update/0608/TKY200706080533.html