ウナギの稚魚やナマコといった高級食材となる生物の密漁、密輸出が海上保安庁に
相次いで摘発されている。暴力団員が関与している場合も多い。密漁はウニ、カニが
中心だったが、海保は海外で高値で取引されることに目をつけ、新たな食材を狙って
いるとみて、取り締まりを強めている。
第11管区海上保安本部などは4月から5月11日にかけて、台湾と日本の養殖業者、
那覇市の暴力団幹部と組員を含む計10人を、関税法違反(密輸出予備)の疑いで
逮捕した。ウナギの稚魚は輸出貿易管理令などで、12月1日から4月末まで輸出が
事実上禁じられているにもかかわらず、4月8日、石垣島から漁船で約130キロを輸出
しようとした疑い。11管がウナギの稚魚の密輸出を摘発するのは初めてだった。
「台湾から日本向けに稚魚が輸出された後なので台湾で稚魚が不足しており、禁止
期間に輸出すると、需要が多い」。逮捕者はこう供述しているという。台湾での当時の
取引価格は、日本国内の約1.5倍の1キロ40万〜50万円。130キロだと6000万円
前後にのぼるという。
グループは役割を分担していた。徳島市のウナギ問屋が四国や九州で買い集めたウナギ
の稚魚を発泡スチロール箱約60箱に入れて関西から那覇に空輸。那覇からフェリーで
運び、石垣島からは暴力団幹部が手配した漁船で、台湾の業者らが台湾に運ぶ計画
だった。
ウナギの稚魚は航空機による密輸出が知られており、成田空港で06年に摘発された
ウナギの密輸は24件、約2.4トンで量は過去最多だった。全国的に空輸の取り締まり
が厳しくなっており、11管や沖縄税関は、摘発を逃れようと漁船を使った疑いもあると
みている。
一方、北海道では昨年ナマコの密漁が相次ぎ、1管は計22人(漁獲量計55トン)を逮捕
した。同6月には暴力団組員が首謀者のグループ7人が伊達市沖でナマコ約700キロを
密漁した疑いで逮捕。このグループは05年5月以降計33トン(買い受け価格約4900万円
相当)のナマコの密漁を繰り返していた。
青森県でも、暴力団組員が関与していた組織的なナマコの密漁が摘発された。
海保によると、これまで北海道沿岸などの密漁はカニ、ウニが中心だったが、乾燥ナマコが
中華料理の食材として人気が高まり、日本から中国への昨年の輸出量は2万7700キロ
(財務省貿易統計から)と04年の約2倍に急増。末端の取引価格も1キロ2万3000円から
3万3000円に急騰している。
密漁するにも潜水服を着れば素手で採れるため、カニなどのように大規模な設備もいらない。
海保は密漁グループがこうした点に目をつけたとみている。
■朝日新聞 2007年06月04日16時10分
http://www.asahi.com/national/update/0604/TKY200706040255.html ■関連スレ
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