アフリカ開発銀行(AFDB)は中国の上海市で16、17の両日、理事会と年次総会を開く。
AFDBがアフリカ域外で年次総会を行うのは2001年のスペインに次いで2回目。
今回は石油などエネルギー資源調達でアフリカへの急接近を図る中国が誘致した。
中国は総額50億ドル(約6000億円)を拠出する発展基金の創設を提案する。
アフリカの経済パートナーとして「存在感」を高めることになりそうだ。
《基金創設を提案》
新華社電によると、上海での年次総会は「アフリカとアジア、発展パートナー」をテーマに、
発電所や港湾などアフリカのインフラ建設や地域一体化、貧困対策などの問題について討議する。
77の加盟国のほか、世界銀行や国際通貨基金(IMF)、非政府組織(NGO)などの代表らも出席し、
参加者は2000人近くに上る見通しだ。
16日の開幕式で温家宝首相が演説するほか、理事会の議長は中国人民銀行(中央銀行)の
周小川総裁が務める。中国は昨年11月、アフリカ48カ国から首脳ら代表団を北京に招き、
アフリカ協力フォーラムを開催した。AFDBはアフリカ域内から53カ国、域外からも24カ国が
加盟している。
中国は1985年に加盟。すでにAFDBに対し総額で3億1400万ドルを出資をしている。
共産党機関紙、人民日報は15日までに、中国国家開発銀行がAFDB理事会・年次総会で
「中国アフリカ発展基金」の創設を提案することを決めたと報じた。同開発銀はアフリカでの
(1)農業や交通、発電、エネルギー関連などインフラ整備(2)投資事業や資金管理
(3)中国企業の対アフリカ投資の支援−を柱に、基金を活用する方針だという。
基金はまず10億ドルを中国が拠出して創設し、順次規模を引き上げて最終的に50億ドルにする。
アフリカの資源国から中国が原油やウラン、鉱物資源などを調達することを狙いとしている。
米国系などメジャー(国際石油資本)が権益の大半を握る中東での衝突を避け、未開発油田を
抱えるアフリカを取り込む作戦だ。
胡錦濤国家主席は今年初め、スーダンやザンビアなどアフリカ8カ国を歴訪。対アフリカ関係を
重視する姿勢を改めて打ち出している。列強による植民地支配を経験したアフリカにとり、
米国とも対峙(たいじ)する力を持ち始めた中国が“救世主”と映ってもおかしくない。
《国際社会は批判》
一方、中国の資金ばらまき型の資源外交がアフリカの経済支配につながるとの批判や、
武器輸出問題もからんで、「中国はスーダン西部ダルフール紛争におけるジェノサイド(集団虐殺)
資金提供者だ」(米下院のラントス外交委員長)と糾弾する動きもある。こうした国際批判を巧みに
避けながらAFDB理事会と年次総会で中国がいかに振る舞うか。国際社会の注目が集まっている。
http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200705160038a.nwc