福岡、長崎、熊本3県の19市町で8日、大気汚染防止法に基づく光化学スモッグ注意報が
発令された。原因物質の光化学オキシダントはぜんそくなどの健康被害を起こす恐れが
あるため、北九州市などは大規模工場を持つ事業所に対し、ばい煙の排出量抑制を要請。
各県とも住民や学校などに外出を控えるよう呼び掛けた。長崎県内では諫早市や佐世保市、
五島市で中高生計12人が目やのどに痛みを訴えたほか、福岡市や北九州市でも小学生が
目やのどの異常を訴えた。発生原因として中国大陸からの影響を指摘する専門家もいる。
大気中の光化学オキシダント値が基準値の0.120ppmを超え注意報が発令されたのは、
福岡県内では福岡市や北九州市など10市町。福岡市は11年ぶりとなり、北九州市は4月26日に
10年ぶりに出されて以来、今年2回目で、市内全域に出されたのは初。前原市や筑紫野市、
春日市、大野城市、太宰府市など8市町での発令は初。長崎県内では佐世保市や五島市、
松浦市など7市、熊本県内では天草市と苓北町の2市町で発令された。
注意報を受け、太宰府市の太宰府東中学校が部活動を中止して全校生徒を帰宅させ、
前原市では市民に外出を控えるよう防災無線で呼び掛けた。また、各地の教育委員会は
小中学校に屋外での運動を避けるようファクスや電子メールで連絡。北九州市では体育の
授業や運動会の練習を取りやめた学校もあったという。
福岡管区気象台によると、福岡市では8日午後2時49分、今年最高の気温28.3度を記録。
国立環境研究所(茨城県つくば市)によると、光化学スモッグは、気温が25度を超し、日差しが
強いなどの条件が重なると発生しやすいという。
■光化学スモッグ
車の排ガスや工場のばい煙に含まれる窒素酸化物や揮発性有機化合物などが、紫外線にさらされて
化学反応を起こし、光化学オキシダントが発生。大気中に滞留して高濃度になると、光化学スモッグとなる。
光化学オキシダントの濃度が大気汚染防止法で定める基準値0.120ppm以上の状態が継続すると
見込まれると、都道府県知事らが大気汚染防止法に基づき注意報を発令する。警報は同0.240ppm以上が
基準となる。
=2007/05/09付 西日本新聞朝刊=
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/kyushu/20070509/20070509_001.shtml