小学1年生で習う「一つ」を2年生の3割が書けず、5年生で出てくる「支持」の「支」を書けた6年生は
1割足らず――。小学校の教員や大学教授らで作る日本教育技術学会(向山洋一会長)が全国の
公立の約480校、3万8000人の児童・生徒を対象に行った調査で、こんな実態が明らかになった。
04年4月から5月にかけて、小2〜中1を対象に前年度に習った漢字の「読み」「書き」の習得状況を調べた。
各学年で習う漢字のうち正答率が低かったのは表の通り。4年生分の「関心」の「関」を書けたのが2割にとどまり、
6年生で習う「従来」の「従」は8割強が書けなかった。
平均正答率は、1年生分は89%と高かったが学年が進むほど低くなり、5、6年生分はともに66%。
同学会は、高学年になると授業で漢字を一つひとつ丁寧に教えることが少なくなる傾向が影響したとみており、
「読み」の平均正答率が各学年とも9割を超えたのと対照的な結果になった。
同学会は、漢字学習を行った時間についてもクラスごとに尋ねた。その結果、約4割が「(授業ではなく)
ほとんど宿題で」と回答。「書き」の平均得点との関係をみたところ、高学年ほど授業で勉強したクラスの
平均点が高いとの傾向が出た。授業中にクラス全員で筆順を声に出しながら机や空中に指で字を書く
「指書き」を行うと高得点になる傾向も見られたという。
同学会事務局長の明石要一・千葉大教授(教育社会学)は「中学年以上では漢字の書ける子と
書けない子の差が開いてきており、心配だ。授業中に教えるなど教員の指導次第で書ける子が
増えることがわかってきたので、教員養成の段階でも改善点を検討したい」と話している。
朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/0507/TKY200705070281.html