【アブダビ(アラブ首長国連邦)=松永宏朗】
安倍首相は28日夜(日本時間29日未明)、サウジアラビア・リヤド市内の国王宮殿で
アブドラ国王と会談し、文化、教育など幅広い分野で両国の協力を進めることで一致した。
首相は、日本国内での石油の安定供給を図るため、沖縄県にある日本の国家備蓄基地の
一部をサウジアラビアの国営石油会社に貸して石油を備蓄する構想を提案し、今後、両国の
閣僚レベルで検討することで合意した。
日本はサウジが備蓄する石油を優先的に購入できるようにしたい考えだ。サウジも、アジアに
新たな石油備蓄拠点を持つメリットがある。
会談後、首相と国王は、投資促進の共同タスクフォース設立などを盛り込んだ共同声明を発表した。
サウジは、日本の原油の約3割を供給している。首相は「石油中心の関係を教育などにも深めて
いきたい」と述べ、エネルギー産業の人材育成などでも関係を強める考えを示し、国王は「歓迎する」と
応じた。
中東和平問題に関しては、首相が、小泉前首相が提唱したヨルダン渓谷の開発によりパレスチナを
支援する「平和と繁栄の回廊」構想への協力を求めた。イラク問題では、イラクの政情安定に向けて
国民融和が不可欠だとの認識で一致。イランの核問題については、平和的解決の重要性を確認した。
首相は29日午前(日本時間同日午後)、リヤドからアブダビに移動し、同日午後(日本時間同日夜)、
アラブ首長国連邦のハリファ大統領と会談した。
(2007年4月29日22時17分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070429it13.htm?from=top