横浜市瀬谷区で2002年、三菱自動車製の大型車から脱落したタイヤに直撃された
母子3人が死傷した事故で、部品の欠陥を放置したとして、業務上過失致死傷罪に
問われた同社元市場品質部長・村川洋(61)、元同部グループ長・三木広俊(59)の
2被告の論告求刑が19日、横浜地裁(木口信之裁判長)であった。
検察側は「(車軸部品)ハブの強度不足に疑いを抱いており、事故は予見可能だった。
リコールを届け出る注意義務も怠った」と、村川被告に禁固2年、三木被告に
禁固1年6月を求刑した。
論告によると、リコールを担当する同社品質保証部門にいた村川被告らは1999年6月、
広島県内で大型バスのハブが破断した事故について原因調査を十分行わなかった。
当時、同社製トラックではハブの破断が15件起き、ハブの強度不足が疑われていたが、
運輸省(当時)には「他に同種不具合の発生はなく、多発性はない」と虚偽報告、
欠陥を放置した。
この結果、横浜市瀬谷区の県道で02年1月、大型トレーラーからタイヤが脱落して、
岡本紫穂さん(当時29歳)らを直撃。岡本さんが死亡、岡本さんの子供2人(当時4歳と1歳)が
軽傷を負った。
検察側は「欠陥車を市場に拡散させており、未必の故意による殺人に比肩する劣悪な
犯罪」と指弾した。
村川、三木両被告は「当時、ハブの破断は整備不良などが原因とされていた。
事故は予見できなかった」と無罪を主張している。
母子死傷事故を受けた国の調査への虚偽報告事件では昨年12月、道路運送車両法違反の
罪に問われた三菱ふそうトラック・バス元会長宇佐美隆被告(66)ら元役員3人に無罪判決が
言い渡され、検察側が控訴している。
また、この事故をきっかけに、山口県でトラック運転手が死亡した事故でも別の部品の
欠陥が明らかになり、同社元社長・河添克彦被告(70)(公判中)らが逮捕された。
(2007年4月19日21時29分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070419i213.htm?from=main2