心に響け、打楽器授業 盛岡聾学校中学部
聴覚障害がある子どもたちに心で感じるリズムを伝えたい―。打楽器演奏の第一人者で
札幌大谷大教授、有賀(あるが)誠門(まこと)さん(70)=東京都在住=は本年度、盛岡市
乙部の県立盛岡聾(ろう)学校中学部(工藤正弘校長)で音楽の特別授業を展開する。
生徒と有賀さんの間にどんなリズムが奏でられるのか、未知なる挑戦が始まる。
有賀さんは1959年、ティンパニー奏者としてNHK交響楽団に入団し、18年間にわたり
首席ティンパニストを務めた。東京芸大や東京音大で指導したほか、パーカッション・
アンサンブルを主宰。活発な演奏活動を全国で行い、花巻市大迫町で毎年開催されている
「小さな森のコンサート」に第1回から参加してコンサートの基礎づくりに尽力した。
有賀さんは、知人の紹介で昨年12月と今年2月に同校を訪問。当時の中学部生徒7人に
演奏を披露したり、ドラムやティンパニーを一緒にたたいて交流した。特別授業は今月25日に
スタート。月に1回程度のペースで有賀さんが同校を訪れ、本年度の中学部10人にリズムの
取り方や響きの感じ方を中心に指導する。
同校中学部は過去に全国聾学校合奏コンクールで文部大臣賞や努力賞を受賞した実績を持ち、
昨年度の同コンクールでも1次審査を通過するなど技術的な面での評価は高い。しかし、
息を合わせたりリズムを取ることに課題が残る。
同校の音楽授業は中学部の3年間。同コンクールに向けた練習や合唱などに取り組んでいるが、
「音楽は楽しいとは思わない」と音楽を学ぶことに意味を求める生徒は少ない。
音楽指導の菅原啓子教諭も「生徒には音楽は『やらされている』ものだと思う」と戸惑いを隠さない。
一方で「有賀先生との交流によって、今感じている音楽とは違う音楽に触れる機会が生まれる」と
期待する。
有賀さんは「リズムが出てくると自分の中にあるものを表現できるようになる。(生徒たちの)
その感覚に火をつけたい」と新たな取り組みに意欲を燃やしている。
岩手日報
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20070413_13