■少年院送致の年齢「線引きを」 下限撤廃に与野党大もめ
犯罪の低年齢化を受け、少年院送致が可能な「下限年齢」の撤廃を盛り込んだ少年法改正案
をめぐり、「線引きをすべきではないか」と与野党から意見が相次ぎ、衆院法務委員会で論議
が続いている。現行法の14歳に代わり、10〜12歳程度を新たな下限とする意見が出ている
ほか、民主党は「おおむね14歳以上」とする修正案を提出し、協議が始まった。様々な見解が
出されている中で、今後どのように決着するかは不透明だ。
改正案では、現行法で14歳以上とされている少年院送致の下限年齢を撤廃。家庭裁判所が
必要と認めれば少年院に送致できるようにする。
3月末から始まった法務委の質疑で、「5歳の幼児が重大事件を起こした場合は、少年院に
送るのか」との問いに、長勢法相が「ありえないとは断言できない」と発言。これらをきっかけに、
何らかの「線引き」を求める声が上がった。
これに対し、民主党は13日、おおむね14歳以上とした修正案を法務委員長に提出した。
また、同日に行われた参考人質疑では、国立成育医療センターこころの診療部の奥山真紀子
部長が「年齢の問題はやはりきちっとしておいた方がいい」としたうえで、下限年齢を「思春期を
迎える12歳から14歳程度」とする目安を示した。
だが、同じ参考人の立教大大学院の広瀬健二教授(少年法)は「個人差があるが、実際問題
として10歳くらいが限界年齢になっているのではないか。立法では一律の線引きを外すのも一つ」
と、下限年齢の撤廃を支持する意見を述べた。
法務委内で、撤廃には反対する意見が多く、新たな下限年齢を設ける方向で論議が進んでいるが、
最終決着は見えていない。
少年法改正は、長崎市で03年に起きた幼稚園児殺害事件など14歳未満による凶悪事件が
相次いだのをきっかけに、法務省が法制審議会に諮問した。05年の通常国会に提出されたが、
これまで廃案と継続審議を繰り返し、法務委での実質審議は今国会が初めてだ。
http://www.asahi.com/national/update/0413/TKY200704130358.html