鹿児島県警:県議選で全員無罪 初期から報告書ねつ造か
12人全員の無罪が確定した03年の鹿児島県議選を巡る公選法違反事件で、県警が捜査の発端になった「ビール供与事件」の捜査報告書をねつ造した疑いがあることが、関係者の話などで分かった。
被告とされた元県議の中山信一さん(61)=今月8日の県議選で当選=陣営からビールを受け取ったと疑われた会社役員の男性は任意聴取で趣旨を再三否認したが、報告書は「認めた」ように作られていた。
この容疑では立件されなかったが、関係者は「うその事実で県警本部に逮捕のうかがいを立てており、最初から強引な捜査が横行していた」と話している。
ビール供与容疑の捜査は、中山さんが初当選した翌日の03年4月14日に開始。
県警は、中山さんを支援した同県志布志市のホテル経営、川畑幸夫さん(61)が同年1月初め、男性に渡したケース入りビールに買収の疑いをかけた。
任意で事情を聴かれた川畑さんとビールを受け取った男性は受け渡しは認めたが、趣旨についてはともに「02年中にホテルの客を紹介したお礼だった」と何度も否定した。
しかし、関係者などによると、03年4月16日作成の捜査報告書には、男性が「川畑さんが『中山が県議選に出るのでよろしく』と言って、ビールを持ってきた」と容疑を認める供述をしたように書かれていた。
毎日新聞の取材に応じた男性によると、取調官は、買収の趣旨を男性が認めたとする文書を勝手に作成。
任意聴取の際に目の前で見せて、読み上げていた。
男性は「(買収の趣旨を)何度も否定したが、取調官は聞き入れてくれなかった」と話している。
この捜査報告書の問題について、県警は「個別の案件には答えられない」と話している。
毎日新聞 2007年4月14日 3時00分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070414k0000m040165000c.html