損賠訴訟:「万引き自白強要」賠償請求を棄却−−地裁 /奈良
万引き容疑の捜査で自白を強要され、精神的苦痛を受けたとして、奈良市内の少年(19)が県と国を相手に約220万円の慰謝料を求めた損害賠償請求訴訟で、奈良地裁(坂倉充信裁判長)は18日、原告の請求を棄却した。
坂倉裁判長は「自白の強要を認めるに足りる証拠はない」と述べた。
判決によると、当時16歳だった少年は04年1月29日、同市内のコンビニで、雑誌1冊を盗んだとして奈良署に窃盗容疑で逮捕され、2月13日まで拘置された。
防犯カメラの映像を見せられた少年は「本を手に取ったが、万引きはしていない」と供述。
一方、防犯ビデオの補充捜査で、少年が手にした物は雑誌かどうかはっきりせず、奈良家裁は同年5月31日に「非行なし」と決定した。
原告側は「少年は脅しや誘惑で雑誌を手に取ったことを自白強要された」と主張したが、坂倉裁判長は「少年は少なくとも盗んだことを認める供述はしておらず、違法な取り調べとは認められない」と退けた。
【高瀬浩平】
毎日新聞 2007年4月19日
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/nara/news/20070419ddlk29040561000c.html