禁煙タクシーが全国的に拡大しつつある。5月1日から名古屋市で、政令指定都市では
初めて喫煙客を乗車拒否できる全面禁煙に踏み切るのに続き、神奈川県では今夏にも、
全域で禁煙車になる見込みだ。たばこが及ぼす健康被害への意識が高まる中、“密室”での
一服に、厳しい視線が向けられている。(編集委員 茂谷知己)
◇名古屋、政令市初/神奈川、今夏にも全域
禁煙タクシーには、喫煙を拒否できる「禁煙車」と乗客に禁煙を協力してもらう「禁煙協力車」があり、
禁煙車は国土交通省の規定で、あくまでも喫煙しようとする客の乗車を拒否できる。
禁煙協力車は、平成17年6月に高知県で初めて導入された。
国交省では14年に健康増進法が成立し、公共の場での喫煙が認められなくなったのを機に、
15年5月から、タクシーの禁煙を努力義務として指導している。全国のタクシーの禁煙車両は、
17年度が2%、18年度3.1%と徐々に増えているが、実施は会社や運転手に任されているのが現状だ。
8年4月には、大分県タクシー協会が2割を禁煙車、残りを禁煙協力車にしようとしたが、
配車がうまくできないなどの理由で、大分市内はすべて禁煙車とした。協会が強制力を
持って取り組んだ結果、同県内の禁煙車率は9割に高まった。
名古屋タクシー協会が5月から全面禁煙とするのに続き、神奈川県タクシー協会が県内全
タクシーを禁煙とすることで話し合いを進めている。
同協会では「すでに190社1万車のうち、90%以上の賛成にこぎつけた」という。
名古屋タクシー協会の永山明光専務理事(62)は「禁煙車は時代の大勢。運転者に与える副流煙の
問題など、経営側は裁判で負けている。もっと早く導入すべきだった」と語る。
ただ心配は喫煙客とのトラブル。永山専務理事は「どうしても吸いたいときは、車から出て
携帯灰皿に吸い殻をしまってもらいたい」として、あくまで乗客の理解を求めていく方針だ。
(2007/04/03 09:13)
http://www.sankei.co.jp/shakai/wadai/070403/wdi070403001.htm