◇元教師、いじめ演じる 一人芝居10年、初の脚本 25日、福岡市 「防止の実践示したい」
身ぶりとせりふだけの「一人芝居」で子育てや人権問題の啓発を続ける福岡市早良区の元小学校教師、
福永宅司さん(47)が、いじめ問題をテーマにした初のオリジナル脚本を完成させた。「解決策は難しくて
も、いじめ防止の実践案はステージ上から提起できる」との思いを込め、25日、福岡市で初披露する。
「筑前町の(中二自殺)事件以来、全国に連鎖したいじめ自殺に、元教師として『何かしなければ』と
思った。ストーリーが自然とわき出してきた」。2004年まで22年間、教壇に立った。人形劇の経験しか
なかったが、人権問題を分かりやすく伝える手段として演劇を始め、10年ほど前からはプロの舞台を
見て触発された一人芝居に取り組んでいる。
舞台は中学校。主人公は、親友へのいじめにも傍観しかできない男子生徒。しかし、聴講生として通う
地元の初老男性の助言をきっかけに、いじめを監視し、相談も受ける生徒会中心の自主組織を学校内に
立ち上げていく‐というストーリー。パイプいす1脚だけを小道具に、福永さんが1人、全身で演じていく。
「集団が1人を執拗(しつよう)に追い詰める今の形態とは違ったが、からかいや腕力ざたなど学校には
常にいじめはあった」。かつての教え子との日々や、年間170回を超える芝居、講演活動を通じて得た
体験を、約一時間の芝居にまとめた。
「見て見ぬふりはだめ、と言うだけではいじめの解決策にはならない」。親がいじめを見逃さないための
3つの兆候や、授業での取り上げ方も織り交ぜ、家庭や学校がいじめをなくすための実践法を自然と
学べる作品にした。
「芝居であらためて見せれば、今気付いていない過ちにも子どもたちの目を向けられるはずです。
積極的に小中学校でも上演していきたい」と福永さんは意気込んでいる。
画像:いじめをテーマにした一人芝居の稽古に励む福永宅司さん=福岡市早良区の自宅
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初舞台は、25日午前10時から、同市西区・西市民センターの子育て講演会で。
会費500円(高校生以下無料)。いきいき子どもネットワーク=-略-。
=2007/02/09付 西日本新聞夕刊=