【北京8日共同】北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議が8日午後、北京の釣魚台
迎賓館で再開した。韓国政府当局者によると、全体会合の基調演説で北朝鮮首
席代表の金桂冠(キムゲグァン)外務次官は核放棄に向けた「初期段階措置」
に応じる「強い意思と希望」を表明した。 核放棄への見返り措置については
「米国が敵視政策を放棄し共存する意思を反映したものであるべきだ」との基
本的立場を述べた。韓国首席代表の千英宇(チョンヨンウ)外交通商省平和交
渉本部長は議長国中国が8日夜か9日にも合意文書草案を作成、各国に提示す
るとの見通しを示した。北朝鮮は米国による金融制裁問題に言及しなかったという。
核放棄に向けた核施設凍結など初期段階措置の具体的な実施計画まで合意でき
るかどうかが今回協議の最大焦点だが、見返りとして要求する内容など北朝鮮
の出方次第では難航も予想される。
昨年12月に休会した第5回協議の第3ラウンドという位置付けで、会期は
「3日間程度」(議長の武大偉中国外務次官)とみられるが、不透明な要素も多い。
8日午後4時半(日本時間同5時半)ごろ始まった開会式で、武次官は「今回
の協議を共同声明の履行に向けた新たな起点としたい」と述べ、一定の進展へ
の期待感を表明。開会式前後に首席代表協議や全体会合が開かれ、全体会合で
各国首席代表が基調演説したが、実質的な議論は9日以降に持ち越されたもよ
うだ。北朝鮮代表団は8日北京入りした。
佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長は基調演説で拉致、核、ミサイルの包括
的な解決を目指す日本の方針を示した上で「日朝関係で実質的進展が得られれ
ば、日本は経済・エネルギー支援を含むほかの分野でも一層積極的な役割を果
たす用意がある」と述べた。
協議筋によると、米朝は1月中旬にベルリンで行った首席代表同士の協議で、
2005年の第4回協議で採択した北朝鮮核放棄をうたった共同声明を履行す
る第一歩として、北朝鮮が寧辺の核施設凍結と国際原子力機関(IAEA)の
査察受け入れを初期段階措置として実施、これに応じた見返りを行う方向で基
本的に一致した。
見返りの具体的内容については北朝鮮側が明確にはしなかったが、エネルギー
支援や制裁解除などを例示しており、今回の協議で公式に要求するとみられる。
この件について米首席代表ヒル国務次官補は8日、記者団に対し、ベルリンで
の協議で米朝が「覚書をまとめて署名した」との一部報道を明確に否定した。
http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2007020990000325.html