吉本芸人として漫才の舞台にも立った異色の経歴を持つ
広島県警廿日市署地域課巡査の木村公洋さん(28)が、
地元で始めた漫才仕立ての防犯教室で人気を集めている。
売れない芸人生活は約3年で断念したが、切れのある「防犯漫才」で振り込め詐欺など
身近な犯罪の撲滅を目指す。
段ボールで作った手製の巨大はがきを、おじいさんにふんする木村さんが、力いっぱい引き裂いた。
架空請求撃退法についての防犯教室の一こま。
木村さんたちの舞台は、吉本仕込みの大きなリアクションが特徴だ。
木村さんは「今までとは違った生き方がしたい」と愛媛大学工学部を中退、
人気漫才師のダウンタウンらも輩出した吉本総合芸能学院(NSC)の門をたたいた。
卒業後は漫才コンビ「金城」を結成。
約3年間、若手芸人の登竜門として知られる「baseよしもと」などの舞台に立ち、コンクールにも出場した。
しかし、NSCの同期がいち早くテレビ出演を果たすなど活躍するなか、
木村さんたちはさっぱり売れないまま。
「お笑いでの収入はほとんどゼロ。アルバイトで暮らしを立てる3年間でした」。
お笑い界での出世をあきらめ、故郷の広島で警察官になったのは25歳のとき。
一時は漫才番組さえ見られないほど嫌いになったという。
警察官になって2年、異色の経歴を見込んだ上司が
「漫才で防犯教室をやってみたらどうか」と声をかけた。
警察官の仕事とお笑いのギャップから、断るつもりだった木村さんだが、
熱心な説得に、同僚の佐々木亮巡査(25)と新コンビを結成することになった。
舞台では、振り込め詐欺などを題材に、
詐欺師と高齢者の電話越しの掛け合いなどをコミカルに熱演。
それまでの防犯教室では居眠りをしていたお年寄りの爆笑も誘った。
今では、出演依頼が次々と舞い込む。
「今後は効果音などにも挑戦したい」という木村さん。
「時間がある限り続けて、一人でも犯罪被害者を減らしたい」と笑顔で話した。
画像:同僚の佐々木巡査と「防犯漫才」を披露する木村巡査(左)
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